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この街(ヨコハマ)は本当に月が綺麗だ…………うん」


「………」


月明かりに照らされながら、少女は呑気に橋の手すりに肘をかけてそう言った。


少女の言う通り月は怖いくらいに綺麗だった。


少女の隣で同じく月明かりに照らされているフードつきのポンチョを被った人物は何も話さない。


だが少女に倣うように肘をかけたその手には、拳銃が隠し持たれていた。


「✕✕」


少女がポンチョを着た人物の方を向く。


「また僕を殺すんでしょ」


「…」


疑問符すらないその発言に、ポンチョを着た人物は余計に黙り込む。


「いいんだよ………それが君の“優しさ”だってこと、僕は理解しているから…………でも」


そう言い少女は手すりに両手を添わせ、反動をつけて飛び乗った。


「よっと…………流石に、もう君を傷つけたくないかな」


「!おい」


「じゃあね」


ドボンッ


「咲妃!!」


現世(うつしよ)幽世(かくりよ)を隔てる境界線………橋。


そこで一人の少女は身を投げた。

___________________


_________


_____


偽者少年と絶望少女の転生交戦記。


始動。

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作者名:とp | 作成日時:2024年4月7日 9時

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