【ヒプマイ】森で拾った緘黙少年【男主】

#17 ページ19

理鶯side




先ほどからセイの様子がおかしい





うなされている様に見えるが…






理鶯「…大丈夫だぞ、セイ。」






セイの頭を撫でようと手を伸ばしたその時







ガバッ





理鶯「、ッ！？」






セイが突然起き上がった






驚いて手を引っ込める









汗をダラダラと流し









目は大きく見開いていてただ一点を見つめている








呼吸は荒く








今にも壊れそうだった








理鶯「、セイ…」





「…！？」





嗚呼、小官は今どんな顔をしているのだろう





きっと情けない顔だ







なぜならセイが小官を見た瞬間






すごく不安そうな顔をしたからだ








しかしその表情は恐怖へと変わる









気絶する前のことを思い出したのだろう






左馬刻「起きたかよ」





「…！？」




左馬刻「早速だがセイ、お前にいくつか質問がある」




ーーーーーーーーー



小さな両手でペンを握っているセイ







その手は少し震えていた






左馬刻「質問についての答えはその紙に書けよ。」







「…(コク、ン」





するとセイは小さくうなずき片手で紙を持った







左馬刻はセイと目線が合う様にかがんで口を開いた








左馬刻「まず…





その身体の傷は誰にやられた？」






「、…っ！」





銃兎「、！おい、左馬刻ッ！」









“誰にやられた”






銃兎が止めようとしたのも無理はない







これじゃまるで“自分ではない他の誰かがやった”ということを聞き出そうとしているのと同じだ








しかし、






セイはその質問に迷うことなくペンを動かす









左馬刻「…」






ペンの動きが止まった






セイは左馬刻を見つめる




そして紙を小官たちに見えるように裏返す








小官たちは言葉を失った







セイは顔色ひとつ変えずに左馬刻の顔を見ている







その紙にははっきりとこう書いてあった









〈じぶんでやった〉、と。

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