血の力 ページ49
オオ「黒き御方とは……いったい何者なのだ」
騒ぐ民たちを片手を上げて鎮めると、疲れたように息を吐くオオクニヌシ。
民3「私達の村が式神に襲われた時、どこからともなく現れ、私の息子を助けてくださった方です」
怯えたような顔でAに視線を向けつつも、静かな、熱の籠った口調でそう言う民3。他の民もそれに同調するように声を上げる。
民1「私達は見たのです！式神に覆い尽くされた村から、子供を抱え、悠然と歩いてきたあの方を！」
民2「怪我一つなく、毅然とした笑みを浮かべておりました！」
太子「……成る程、興味深いな」
蘭丸「太子殿！」
太子「だが、その者があの狼の血を浴びて式神に襲われない力を手に入れたと言う証拠は？」
指で眼鏡を押し上げると、キラリと音を立ててレンズが光る。民たちは、太子の冷静な言葉に不安げな目をして顔を見合わせた。
民1「それは……けれど、それ以外に何にすがればいいか、もう……」
一人の言葉に、民は同意するように頷いてオオクニヌシを見つめる。皆の視線を受けて、オオクニヌシは悲しそうな眼差しで民を見据ると、やがてゆっくりと口を開いた。
オオ「……ヤチホコの血や心の臓で式神を退けることができる……。それが真であるか、私には分からない。
また、仮にヤチホコの心の臓で国が助かったとして……私はそのような国に生きたいとは思わない」
民「……っ！」
静かな力強い口調で言うと、瞬きもせずに民を見つめ続ける。だが民たちは以前として不安げな目をしてオオクニヌシを見つめる。
民1「し、しかし……」
民2「このままでは、天の国は式神に滅茶苦茶にされてしまいます」
民3「オオクニヌシ様、どうかお許しください」
民4「私達はこの国を守りたいのです」
オオ「………」
漱石「……気持ちは分かるけど、だからって心臓を手に入れるなんて」
太子「大事なものを守るためなら、やむを得ないということだろう」
ヤチホコの痛々しい傷を思い出して眉を下げる漱石に、表情を変えないまま太子がそう言う。自分を見つめる視線に、オオクニヌシはまるで痛みを堪えるように細く息をつく。
続編移行（刀剣乱舞とのクロスオーバーがあります。苦手な方は逃げてください）→←黒衣のお方
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
