白い狼 ページ46
ヤタ「オオクニヌシ、オモイカネはいますカ？あれは話が長いですガ……ワタシよりも三貴神に詳シイ」
オオ「ああ。私の屋敷で調べものをしている。案内しよう。……太陽の巫女たち」
少しだけAに視線を向けると、オオクニヌシは森の奥へと入っていく。蘭丸たちはおずおずとした様子を見せながらも後に続いた。
オオ「今朝見たら、花が枯れている箇所があった。……既にスサノオ様の力がこの天の国にまで及んでいるようだな」
ヤタ「……ええ。あれの闇は想像していたよりずっと深イ」
「……」
オオクニヌシとヤタガラスの会話を聞きながら、Aたちは森の中を歩く。途中、後方で茂みが揺れるような音がしてAは後ろを振り返る。すると―。
漱石「ちょっと、あれ！」
蘭丸「！？あれは……！」
見ると、木の後ろから白い何かが近づいてくる。よく見つめると、それは銀色にも見える白い毛を蓄えた大きな狼のようだった。
漱石「おっきな犬！」
綱吉「犬じゃない！狼だ！それにしても……」
太子「……酷い怪我だな」
太子の声に目を向けると、狼の脇腹には無数の矢が刺さっており、傷からは鮮やかな血が流れていた。後ろの右足においては肉が裂けて骨が見えている。
オオ「ヤチホコ。そなた、どうしたのだ……？」
蘭丸「ヤチホコ？」
太子「気が立っているようだが……」
晋作「……A、後ろに」
小声で囁き、Aを庇うようにして晋作がそっと刀に手を添えた。その様子を見た狼は、目付きを鋭くすると低く唸った。
ヤチ「……人間、お前もか……！」
漱石「しゃべった！？」
オオ「ヤチホコ、待て！」
オオクニヌシの制止に構わず、ヤチホコは牙を剥き出しにして晋作たちの元に飛びかかってくる。オオクニヌシが、身構える晋作の前に飛び出すと、同時にヤチホコの鋭い爪がその体を掠めた。
オオ「っ！」
イナバ「オオクニヌシ様！」
「……！！」
オオクニヌシの左腕に、鮮やかな赤い血が滲む。
晋作「テメー！無茶するな！！」
ヤチ「ウウウウ……」
オオ「ヤチホコ、私は大丈夫だ。そなたの傷はどうしたのだ？こちらへ……」
落ち着かせようとしているのか、オオクニヌシは優しく穏やかに声を掛ける。だが彼がヤチホコに向かって手を伸ばすと、ヤチホコは後ろ足を引き摺りながらも弾かれたように逃げ出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
