天の国へ ページ45
漱石「晋作くん、今を嘆いたって仕方ないよ。台本もだけど……過去を振り返って落ち込む暇があるなら、これからどうするかを考えようよ〜」
晋作「………」
漱石「前に進まないと、ずっとそのまんまだよ〜。過去だって大事なことだけど、後ろを向いたまんまじゃ上手く歩けないでしょう〜?」
俯く晋作の頭を慰めるように撫で、微笑む漱石。そして困惑するヤタガラスたちに視線を向けると、凛とした声で言葉を掛ける。
漱石「カラスさん、分かる範囲でいいから今起きた出来事が何だったのか分かりやすく教えて?どうするかはお話を聞いてから考えようよ〜」
ヤタ「……まさか貴方が事態を治めるとは思っていませんでシタ」
漱石の声に、ヤタガラスは溜め息にも近い息を吐く。自分を落ち着かせるように少し目を閉じると、空を見上げて茜色の雲に視線を向けた。
ヤタ「話の前に、まず天の国に行きまショウ」
蘭丸「天の国……?」
ヤタ「ワタシの他にも、この儀式の真実を知る人物がそこにいるんデス。今回のことも報告しなければなりまセン」
バサリと音を立てて背中の羽を広げると、晋作たちを先導するように宙に翔ぶ。漱石たちは互いに頷き合うと、心に不安を残しつつも黒い後ろ姿を追い掛けた……。
…………………………………………………………
湖には薄紅色の花を満開に咲かせた木が映る。辺りにはその花弁が舞い落ちる雪のようにひらひらと揺れ、Aたちの頬を擽っていった。
綱吉「ここが、天の国……」
太子「幻想的、というべきか」
花弁を捕まえ、自然豊かな風景を見つめる太子。柔らかな草地に降り立ったヤタガラスは先頭に立ち、Aたちを悠然とした態度で見つめる人物の元まで歩いていく。
ヤタ「オオクニヌシ」
オオ「……儀式は、失敗したのだな」
オオクニヌシと呼ばれた人物は、表情を変えないままヤタガラスたちを見る。
蘭丸「あの……貴方は」
オオ「そなたは森蘭丸か」
蘭丸「……!どうして私の名前を」
驚く蘭丸に、オオクニヌシは柔らかく微笑む。
オオ「私の名前はオオクニヌシ。この天の国の君主だ」
綱吉「く、君主……!?」
オオ「宜しく頼む」
晋作「……」
オオクニヌシは朗らかにそう言うが、晋作は黙ったまま睨むようにして彼を見つめる。Aもその隣でじっと下を向いている。
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白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ;∀;)お納めください! (2017年12月27日 16時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます!待ってました! (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ!めっちゃ見たい!確信犯物吉くん!なるべく早めにお願いします!←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´;ω;`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます!それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます!確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白兎優 | 作成日時:2017年11月22日 16時