巫女様は愛され体質のようで。【伍】

裏切り？ ページ44

綱吉「……何が、起こったんだ」

蘭丸「アマツカミを呼び戻すはずじゃなかったんですか……？」

太子「ヤタガラス！どういう事だ、説明しろ！」

ヤタ「……ッ」

太子に詰め寄られ、ヤタガラスは思わず視線を逸らす。その場にいた全員が先程起きた出来事を理解できずにいたが、何か良くない事が起きたということははっきりと理解出来た。





太子「儀式は失敗したのか！どうして晴明はあんな行動を取った！あいつは何者なんだ！それと何故スサノオノミコトが出てくるんだ！あの光は何だったんだ！お前は……何を隠しているんだ。全部話せ！説明しろ！」

蘭丸「ちょっと太子殿、焦る気持ちは分かりますが落ち着いてください！」

ヤタ「………ッ、ウルサイ！ワタシだって訳が分からないデス！こうならないよう、ツクヨミ様の命を受けてずっと前から対策を取っていたのニ……！」

捲し立てる太子に、抑えきれないようにヤタガラスも怒鳴り声を上げる。



晋作「……よ」

綱吉「晋作？」

晋作「……んで、……よ」

太子とヤタガラスの口論を聞いていた晋作はぼそぼそと何かを呟く。綱吉が俯いた晋作の顔を覗き込むと、彼は突然頭を掻きむしって空に向けて大声で叫んだ。





晋作「なんっ……で、終わらねえんだよ！晴明あの野郎なんてことしてくれてやがんだ！！やっと長ったらしい台詞から解放されると思ったのに！」←

綱吉「し、晋作……？」

晋作「アイツがオレたちを裏切ったみてえな展開も許せねえけど！それ以上にアイツを見つけるまで終わらねえってのが気に食わねえ！もう終わりでいいじゃねえか！『太陽を昇らせ、Aと永遠を誓い合った晴明は日ノ許でいつまでも2人仲良く暮らしましたとさ』みてえなさ！」←

太子「お、おい……」

晋作「オレが毎回毎回あの台本覚えんのに何時間掛けてるか知ってんのか！？物覚えわりぃから、お前らみてえに短時間じゃ覚えられねえの！それでもやってんだよ仕事だから！」←

ヤタ「……高杉晋作」

晋作「なんで晴明裏切ったんだよ！スサノオノミコトとかいう奴も、何勝手に晴明になりきってんだよ！アイツ、見つけたら即絞める！」←

蘭丸「あの……晋作殿？」

ダイレクトな裏話に、蘭丸や綱吉だけでなく、口論をしていたヤタガラスと太子までもが度肝を抜かれたように晋作の名前を呟く。しゃがみこんで頭を抱える晋作に、漱石は優しい瞳を向けると肩をそっと擦った。

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