天幕 ページ39
2日後。満月の夜。
イナバ「むにゃむにゃ……」
ヤタ「……」
木々の間に張られた天幕の下、柔らかな静寂が満ちている。明け方の儀式に備え眠りについた彼らは心地良さそうに体を寄せあっていた。ヤタガラスも大事な儀式前は睡眠が欲しいのか木に寄りかかって目を閉じており、その腕の中ではイナバが丸くなって眠っていた。
晴明「………」
その中で、晴明は静かに起き上がると数回瞬きをする。隣に視線を向けると一緒にいたはずの彼女の姿がなく、彼は小さく首を傾げた。
晴明(Aさん……？こんな夜更けに、どこへ行ったのでしょう……)
布ずれの音を立てないように天幕を出ると、森の外へ向かって歩き出す。空には大きな満月が輝いており、世界を明るく照らし出していた。
晴明「……！」
「………」
森を出てしばらく歩いていると、広い草原の上にAがぽつんと座っているのが見えた。彼女の周りには見慣れた札がズラリと並べられており、月光を受けて神々しい光を放っていた。
晴明「Aさん、これは一体……」
「晴明。……すみません、起こしてしまいました？」
申し訳なさそうなAの声に、晴明はゆっくりと首を横に振る。札を踏まないように彼女の隣まで辿り着くと、感情の読み取れない横顔を見つめた。
「紅月の光を染み込ませた和紙に文字を書き、一ヶ月間満月の夜から一日も欠かすことなく月の光に当て続ける。そうすることで、ようやく一枚の札が完成するんです」
晴明「今日が完成の日、ということですか」
「はい。……一ヶ月、夜更かしに付き合ってくれてありがとうございました」
Aが札に触れると蒼い光は静かに収まり、白銀の和紙の上に刻印のように文字が描かれる。よく見ると茜色、若草色、金の三色があり、それぞれが特有の美しさを持ち合わせていた。
「……旅ももう、終わりですね」
晴明「………」
「今まで楽しかったです。世界を見れて、色々な気持ちを知れて」
胸に残る切ない気持ちを隠すように、必死に言葉を探すA。晴明は満月の光を受けて、落ち着いた様子で口を開いた。
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白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
