小さな島 ページ33
「ん……」
どこからか波の音がする。
頬を撫でる潮風を感じてAが瞳を開けると、目の前に蘭丸や漱石たちの背中が見えた。
晋作「すげえ自然だな……昔オレ達が住んでた場所と同じくらいじゃねえか？」
晴明「あの場所にさえ、これほどの場所はありませんよ」
近くで晋作と晴明の会話が聞こえ、少し後ろを振り向く。昔を懐かしむ2人の瞳は遥か遠くを見つめているように思えた。
(今回は、見なかった……。2人と、師匠さんの記憶……)
鳥居を通る度に映ったあの記憶が、今回は見られなかったことを疑問に思うA。
綱吉「この島には、人が居ないのか？」
蘭丸「確かに、どこにも人影がありませんね……」
ヤタ「滅多に立ち入って良い場所ではありませんカラ。……好き好んで住み着く方もいないと思いますケド」
ヤタガラスの言葉にAが意識を目の前に向けると、無限に広がる草野原と視界を覆うように木が生い茂っているのが分かる。当然のことながら小屋の一つも建っていない。
確かに住みたいとは思わないなと景色を見つめていると、目の前を綺麗な朱色の蝶が通り過ぎた。
漱石「わっ、珍しい色の蝶々さん！蝶々さんの行く先には猫さんありってね！待って〜」
蝶々を追いかけ始めた漱石を横目に、太子は小さく溜め息をついた。
「……だいたいああいう綺麗な蝶についていくと、死者の国に連れていかれたり化け物の餌にされたりするパターンが多いですよね」←
綱吉「不吉なこと言うなよ！お前が言うと冗談に聞こえないから！←
おーい、漱石！戻って来〜い！」
ぼそりと呟いたAに若干身震いをしつつも、綱吉は漱石に声を掛ける。漱石は気のない返事をして蝶を見つめていたが、どうやら飽きたようでのんびりとした様子で戻ってきた。
太子「それで、肝心の儀式とやらはどこで行うんだ？」
漱石が戻ってくると、太子はイナバとヤタガラスに視線を向けて尋ねる。イナバは得意気に胸を張ると、Aの背後の山頂を指差した。
イナバ「アレを見ろ〜っ！」
「……？」
太子「……どれだ？」
Aは太子と2人並んでイナバの小さな前足が示す場所に目を細める。いつも書物を読んだり書類作業をしているせいか、意外と目が悪いのだ。
ヤタ「あそこですヨ。微かに赤いものが見えるでショウ？」
「ああ……アレですか」
太子「……」
眼鏡を外してじっと目を凝らす太子。どうやら近眼だけでなく老眼……いや、遠視も進んでいるらしい。
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白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
