祈殿 ページ32
茜色の空の下。
Aたちは城から数分歩いた大鳥居にやって来ていた。
イナバ「いよいよ儀式だな！次は、祈殿へ行くぞ！！」
「きでん……？」
漱石「きでんってなーにー？新しい猫缶のこと？」
聞き慣れない単語に、Aと漱石は首を傾げる。
ヤタ「日ノ許の中央にある島のことデス」
蘭丸「聞いたことがあります。なんでも、美しい自然に溢れる場所だとか」
漱石「へえ〜、猫さんもいるかな〜！」
ヤタガラスと蘭丸の説明に、漱石は目を輝かせる。晋作は小さく口角を上げるとイナバを抱き抱え、自分の肩に乗せた。
晋作「テメーはいつでも猫ばっかじゃねえか」
漱石「え〜？猫さん可愛いよ〜？」
太子「……俺たちにはあまり良い思い出がないがな」
漱石に初めて出会った時お腹を空かせた猫たちに引っ掻かれたこと、それに先日子猫を撫でようとしたら激しく抵抗されたことを思い出し、太子は苦々しげに眉を寄せる。ヤタガラスも同じことを思い出したようで、腕の装飾を弄りながら溜め息をついていた。
綱吉「お前たちと一緒なら、楽しい旅になりそうだな！」
太子「騒がしいの間違いじゃないか？」
晋作「まあ、確かに退屈はしないけど……」
場の雰囲気を盛り上げるためにニカッと笑って見せる綱吉に、太子と晋作は気のない返事を返す。
晴明「とにかく、これで護人が全員揃いましたね」
「……そうですね」
晴明の言葉に、Aは目の前にそびえ立つ鳥居を見上げる。茜色の空を背景に、漆塗りの赤い鳥居はいつにも増して大きく見えた。
(そろそろお別れ、か……)
ずっと感じていた胸の痛みにそっと睫毛を伏せる。初めは分からなかったが旅の中で沢山の感情を知った今は分かる。寂しさ。切なさ。ずっと一緒にいたいだなんて願ってしまう勝手な自己願望。
いつからこんなに人間らしくなったんでしょうね……と、自身を嘲笑するようにAは切なげに微笑んだ。
イナバ「巫女〜！早く行くぞ〜！」
「分かりました」
イナバに言われ、Aが祈りを捧げると鳥居から眩い光が溢れ出す。
(太陽を取り戻す儀式……。本来の目的はアマツカミを呼び戻すこと。寂しいですが、この気持ちは儀式が終わるまでは忘れましょう)
目的達成のために私がいるのだから。
茜空を見つめると、小さく目を細める。柔らかく吹いた風に誘われるようにして、光の中へと足を踏み出した……。
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白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
