37.8℃ ページ19
翌朝。
まだ雀も眠る朝焼けの昇らない早朝―。
「……(冷たい手拭いを頭に乗せて、ぐったりとしている)」
晴明「……(心配そうにAの様子を看ている)」
玄白「37.8℃だ。昨日手当てをしている時にも思ったが……太陽の巫女というのは、随分ひ弱だな」
「うう……」
水銀式の体温計の目盛りを見て、表情も変えずにズパッと言いきるこの男の名は、杉田玄白と言うらしい。
『解体新書』を刊行し、医学と人体解剖に情熱を注いだ江戸の町医者。
この世界においても彼は優れた医者として描かれている。常に解剖を求めて些細な病気でも手術をしようとする辺り性格に難ありだが、腕は確かだ。その腕前は徳川一家に重宝されるほどであり、今回のAたちの怪我を治療したのも玄白だ。
玄白「薬を処方してやるから、食後に飲むように。あと、痛み止めが切れたせいで肩の傷が痛むだろうが、あまり触るんじゃないぞ。細菌が入って悪化するからな」
「……」
肩に走る鋭い痛みに耐え、Aは小さく唸る。対して玄白は、Aに視線を向けることもなく往診鞄から出した薬を晴明に手渡している。
玄白「また後で包帯を換えに来るが、心の籠った看病は自分たちでしてやれ。その方が患者の気持ちも安定するからな」
晴明「分かりました。ありがとうございます」
頭を下げる晴明を横目に、玄白は白衣を翻して部屋から退出する。視界から長身が消えていくのを見て、Aは短く熱い息を吐いた。
「まさか、昨夜泣いたせいで……熱が出るなんて……」
晴明「色々と疲れも貯まっていたんでしょう。それほど高くなくて良かったです」
ぼんやりとした目をするAの、頭に乗った手拭いを替えながらそう言う晴明。
昨日の夜、泣き止んだAに“心細いから今夜だけ一緒に寝てほしい”と言われ、晴明はAと同じ布団で眠りについた。珍しくAが自分に頼ってくれたということを嬉しく思い、晴明は下心などは一切なく快く承諾した。だが早朝に目覚めてみると、Aは肩を押さえて熱い息をしており、まさかと思って額に手を当てたところ熱があった。慌てて医者を呼びにいこうと襖を開けるとAの包帯を換えに来たらしい玄白に出くわし、今に至る。
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白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» ご期待に沿えるものかは分かりませんが……( ；∀；)お納めください！ (2017年12月27日 16時) (
レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» ありがとうございます！待ってました！ (2017年12月27日 15時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏(プロフ) - 白兎優さん» 分かるっ！めっちゃ見たい！確信犯物吉くん！なるべく早めにお願いします！←(図々しい) (2017年12月25日 20時) (レス) id: af2272c6ba (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» あと、先日は勝手にパスワードを掛けてしまい申し訳ありませんでした(´；ω；`)こんな奴の作品ですが、よろしければこれからもよろしくお願いしますm(__)m (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
白兎優(プロフ) - 八咫烏さん» コメントありがとうございます！それ、滅茶苦茶見たい展開です。いつか番外編で実現させます！確信した上で巫女様に抱きつき、晴明さんたちに爽やかな笑顔を向けてほしい。 (2017年12月25日 20時) (レス) id: 87319c2df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎優 | 作成日時：2017年11月22日 16時
