10 ページ10
・
有岡の手は、やっぱり小さい。
大きい手に慣れているから、友達同士感がより出ている。
横を見た時の顔の位置も、私と同じくらいだし、邪魔なくらいの長い足もない。
有岡「あ、電話……」
繋がれてた手はほどかれ、画面を見せて、おばさんである事を知らせてきた。
有岡「荷物受け取るとこにいて、荷物待ってるって」
A「うん、行こっか」
有岡「うん」
微妙な距離を保って、有岡が先を歩く。
そこからは、お母さんとおばさんの勢いに負け、私たちは静かになった。
おばさんが助手席に乗ったので、違和感なく後部座席に乗って。
無言で窓の外を見ていた。
夕飯は国道沿いのファミレスで食べて、うちに着いた。
有岡には小さく手を振り、おやすみなさいを告げた。
・
母「やっぱりあっちはムシムシしないし、いいわー」
毎年同じ事を言いながら、麦茶をキッチンで飲んでいる。
母「あ、裕太くん来てたの?」
A「え、来てないけど」
母「お皿が二枚洗ってあるから」
A「あぁ、有岡。
久しぶりに喋ったな」
母「あなたが一緒に来てて、ビックリしたもん。
明日からの準備は出来てるの?」
A「あと、カバンに詰めるだけ。
先にお風呂入るね」
母「お母さん、荷物の整理するわ」
・
お風呂から出て、自分の部屋に入った。
エアコンをつけておいたのに、窓を開け右側をのぞいてみる。
部屋の電気はついてないから、まだ下にいるのか。
変わらないと言えば変わらないけど、笑顔が曇ってるのが気になった。
うちにいる間は、タバコを我慢してたけど。
空港の喫煙所と、ファミレスの外でも吸ってて、なんだかそういうのは慣れないな。
明日の荷物を詰めよっと。
着替え、エプロン、実習教材、実習記録、辞書、印鑑、
筆記用具に上履き……
A「あっ!!やばっ!!」
外履き用のスニーカー、メッシュの部分に穴が空いてたんだ!
土曜日、帰りに買ってこようと思ってたのに、裕太くんに遭遇しちゃってそれどころじゃなくて。
あぁ、もう21時過ぎてる……
他のスニーカーあったよな。
大慌てで玄関に行き、下駄箱を開けた。
これは汚したくない。
これは派手だし。
うっ、ヒモが切れそう。
え、どうしようどうしようどうしよう‥‥
あっ!そういえば、押し入れの中にあったよな。
1150人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時