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有岡の手は、やっぱり小さい。

大きい手に慣れているから、友達同士感がより出ている。

横を見た時の顔の位置も、私と同じくらいだし、邪魔なくらいの長い足もない。







有岡「あ、電話……」





繋がれてた手はほどかれ、画面を見せて、おばさんである事を知らせてきた。






有岡「荷物受け取るとこにいて、荷物待ってるって」




A「うん、行こっか」




有岡「うん」





微妙な距離を保って、有岡が先を歩く。

そこからは、お母さんとおばさんの勢いに負け、私たちは静かになった。

おばさんが助手席に乗ったので、違和感なく後部座席に乗って。

無言で窓の外を見ていた。





夕飯は国道沿いのファミレスで食べて、うちに着いた。

有岡には小さく手を振り、おやすみなさいを告げた。











母「やっぱりあっちはムシムシしないし、いいわー」






毎年同じ事を言いながら、麦茶をキッチンで飲んでいる。






母「あ、裕太くん来てたの?」





A「え、来てないけど」






母「お皿が二枚洗ってあるから」





A「あぁ、有岡。

  久しぶりに喋ったな」






母「あなたが一緒に来てて、ビックリしたもん。

  明日からの準備は出来てるの?」






A「あと、カバンに詰めるだけ。

  先にお風呂入るね」






母「お母さん、荷物の整理するわ」











お風呂から出て、自分の部屋に入った。

エアコンをつけておいたのに、窓を開け右側をのぞいてみる。

部屋の電気はついてないから、まだ下にいるのか。

変わらないと言えば変わらないけど、笑顔が曇ってるのが気になった。

うちにいる間は、タバコを我慢してたけど。

空港の喫煙所と、ファミレスの外でも吸ってて、なんだかそういうのは慣れないな。






明日の荷物を詰めよっと。

着替え、エプロン、実習教材、実習記録、辞書、印鑑、

筆記用具に上履き……





A「あっ!!やばっ!!」




外履き用のスニーカー、メッシュの部分に穴が空いてたんだ!

土曜日、帰りに買ってこようと思ってたのに、裕太くんに遭遇しちゃってそれどころじゃなくて。

あぁ、もう21時過ぎてる……

他のスニーカーあったよな。





大慌てで玄関に行き、下駄箱を開けた。



これは汚したくない。


これは派手だし。


うっ、ヒモが切れそう。



え、どうしようどうしようどうしよう‥‥





あっ!そういえば、押し入れの中にあったよな。

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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時

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