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いや、ヤキモチじゃない。

ヤキモチじゃないけど、モヤモヤして。

仕事中の顔だから、それが普通なのに、なんだか複雑な心境だった。

私には、あんな笑顔見せないからだよね、きっと。




ふっ、幼馴染に笑顔振りまいても、仕方ないか。




気付かれないように、下を向いて歩きだしたのに、大きな声で呼ばれた。





有岡「A!」




女の子「えー、誰?誰なの?」



酔っぱらった女の子たちに大きな声で絡まれてる。




有岡「いや、大切な子」




女の子「えー、彼女?」




有岡「じゃないけど…

  また来てくださいね!」





そう言いながら、女の子たちの背中を押していた。

その後、すぐに女の子たちはキャハハッと楽しそうに歩きだし、居酒屋の店員の事なんて忘れちゃったみたいだ。




呼ばれて立ち止まったけど……どうしよ。

って思ってたら、有岡が仕事中なのに、かけよってきた。





有岡「今、帰り?」




さっきの笑顔の延長のような顔で、軽く話しかけてきた。





A「うん。

  保育士さんって、帰りが意外と遅いんだよね」





有岡「そっか……あ、今日で終わりだったの?」





A「そう!終わったー!

  明日、日誌を届けて、二週間の実習記録をまとめたのを来週提出して、終わる」




有岡のテンションで、少し大きな声を出してしまった。





有岡「ちょっと飲んでかない?

  おごるし」





A「え……」





この暑い夏の夜、あまりお酒は飲まないけど、少し開放的な気持ちになっていた。

でも……





A「ごめん、お母さんが夕飯作って待ってると思うから。

  また、今度にする。

  ありがとね」






有岡「そうだな。

  おばさん、すげー心配してるっぽいぞ」






A「あぁ、そうなの?

  おばさん、言ってた?」






有岡「うん、そう」






A「ねえ、ちょっとこれ見て」





有岡「ん?」





バッグの中に大切にしまってきた、沢山のくじらを広げて見せた。

真ん中に、先生の字で


「Aせんせい、ありがとうございました。これからもがんばってね!」



って書かれてたから、もらったものだと分かったみたいで





有岡「すげーじゃん、みんなが作ってくれたんだ」





A「うん…」





有岡「頑張ったもんな、よかったじゃん」





また涙が出てきた。

有岡が言う「頑張った」は、あの件も含まれてると思ったから。

21→←19 実習終了



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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時

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