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「大ちゃーん!仕事!」




お店の人に呼ばれてしまった。





A「ご、ごめんね、仕事中に」





有岡「ううん、見せてくれてありがと。

  またな」





A「うん、頑張ってね!」




背中に向かってそう言うと、

笑顔で振り返り、片手を上げてくれた。





有岡の笑顔を見たら、なんだかホッとして。

さっきの女の子たちにモヤモヤしてた気持ちも消えていた。

これ見せるのとか、どうしちゃったんだろ、私。




丁寧にバッグにしまって、自転車置き場に向かった。











家に帰ると、お父さんが夕飯を食べていた。

そうだ、明日からお盆休みで、仕事終わってそのまま来るのは毎年の事だった。




A「ただいま」




母・父「お帰り」




母「お疲れ様でした。無事に終わったわね」




A「見て見て!みんなが作ってくれたの」




母「わぁ、すごいわね。

  Aも先生とか呼ばれるんだもんね」





A「お父さんが買ってくれた手袋シアターの本、あれ、すごく役に立った」





父「今日も、お土産に絵本買ってきたぞ」






A「え、何て本?

  バイト先でも、欲しい絵本があるんだよね」











なんだろう……久しぶりにお父さんと話した。

お母さんも、ダイニングテーブルにつき、久し振りに三人で話をした。

もちろんお母さんが一番嬉しそうだけど、私も、だいぶお父さんに心を許せるようになっていた。

今までは、何を話したらいいか分からなかったとか、塾が忙しかったとか、裕太くんと遊ぶのが忙しかったとか、なんだかんだで全然話してこなかったわけで。

スーツのジャケットを脱いだ格好で、一時間くらい話してて。

私のスマホが鳴ったタイミングで、お父さんがお風呂に入る事になった。







それからお父さんがいる四泊五日の間、いつもより三人で過ごす時間が多くて。

まあ、私に時間が出来ただけなんだけど、久し振りに落ち着いた時間を過ごしていた。






A「ねえ、北海道って小さい頃行ったきりなんだよね。

  私も行ってみたいなー」





母「そうね、お父さんがいる間だけだし、近々行ってみたら?」





A「行ってみたらって、私が行く時は、お母さんも行こうよ。

  お父さんと二人きりは、いやだもん。

  おうちの事、やってよ」






父「お母さん、一人でのんびりしたいんじゃないのか?」







 

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作者名:やまぱん | 作成日時:2019年5月12日 17時

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