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傷がある方のほっぺを有岡の細い指で包まれた。





えっ・・・やばい。





ダメッ!






そう思った瞬間、また有岡の唇が私のリップを塗った唇にくっついた。






A「やめてよ・・・

  ホントにイヤ・・・


  なんで?」





有岡の胸を押し、二歩後ろにさがった。






有岡「ごめん・・・」





A「幼馴染だからって、勝手に、自由に、そういう事するのやめてよ。

  何してもいいなんて言ってないし・・・

  彩ちゃんの練習台なんてしたくない!

  それに、私の好きな人に知られたら困る・・・・」












最後に嘘をついた。

そうでもしないと、いいように利用されてくと思って。


彩ちゃんの練習台なんて、まっぴら!






有岡「す、好きな人いるの?」






A「・・・・うん」





小さくうなずいて、視線を反らした。





有岡「そっか・・・」





A「有岡だって、好きな人いるじゃん」






有岡「まあ、そうだけど」





A「だから・・・お互いの為に、やめよ。

  これ、ありがとね」






髪の毛からコサージュを外し、透明の四角いケースにしまって。

リップは、大切なものを入れる、バレリーナのオルゴールの中にしまった。


それを、じっと見ている。





A「ちなみに、これって彩ちゃんとお揃いじゃない?」





有岡「違う。

  彩ちゃんは、ハンカチタオル」






A「なんか、普通なんだね」






有岡「分かんなくて。

  無難なやつにした。

  だからAに一緒に見て欲しかったんだけど」






A「なんで彼女の事、わかんないの。

  ずっと一緒にいるのに。

  初詣行ったり、映画観たり、何話してんの」






有岡「俺が一方的に話してるっぽい。

  Aの事は、色々あげたいものとか思い浮かぶのに・・・

  俺、ダメだな・・・」






すごく落ち込んでた。


ホントに好きなの?なんて質問をしてしまいそうだったけど、ぐっとこらえた。





A「大丈夫だよ。

  有岡なら大丈夫。

  私みたいなのがいると、気が散ると思うから。

  だから、もうこの部屋にも来ない方がいいかもしれない。

  もし私が彩ちゃんだったら嫌だもん。

  幼馴染だからって、部屋で二人きりとか」





有岡「うん・・・分かった。

  Aの好きな人にも誤解されたくないし」

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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年8月29日 23時

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