38 Daiki 9/15 ページ38
Daiki
ずっとずっと心配してた。
電話もくれないし、メッセージの返信もない。
お義母さんから、寝不足で疲れてるって聞いてたし、今日一週間ぶりに会ったけど、目が死んでるし全然笑わない。
俺の名前を呼んで、胸の中にももぐってこない。
有岡「はい、体起こしてみよ」
まだお腹に力を入れるのが辛いらしいので、背中に手を添え、起き上がらせた。
そして、持ってきたスプーンでアイスをひとすくいして、あまり開いてない口の中にゆっくり入れた。
冷たかったみたいで、目をギュッとつぶっている。
A「ふっ・・・美味しい」
有岡「今日、初めて笑った」
A「え・・・そっかな？
ねえ、悠ちゃんはオッ パイの時間じゃない？」
有岡「さっき、お義母さんに哺乳瓶でミルクもらってたけど」
A「そっか・・・
あまりにも泣くから、母乳のあとにミルク足すようになったの」
そんな話をしながら、残りのアイスを、ひとくちずつ食べさせた。
お母さんになったばかりのAは、真面目な性格から、きっとこんなに疲れてるんだろう。
それに、甘えるのも下手だし、心休める場所もないのかも。
有岡「俺がくる週末くらいは、甘えていいんだから」
急に、そんな事を言ってしまって、Aはビックリして戸惑ってる。
その次の週も、またその次の週も、完璧な笑顔は見られず、とっても心配だった。
・
一カ月検診について行きたかったのに、平日だからダメと言われてしまった。
Aも順調に回復してるようだし、悠ちゃんもちゃんと成長してるらしい。
珍しく電話があり、とっても嬉しそうに悠ちゃんの成長記録を教えてくれた。
有岡「Aが、頑張って見てくれてるからだな。
ありがと」
A「うん」
きっと顔を赤くして照れてると思うと、早く会いたくなった。
・
その週末、いよいよ迎えに行った。
義母「ちょうど三連休だし、大ちゃんがそばにいてくれるから大丈夫ね」
A「うん・・・大丈夫だと思う」
有岡「だと思うってなんだよ」
確実に、先週来た時より表情がいい。
悠ちゃんがちゃんと成長してたことが、自信につながってるならいいんだけど。
玄関から出て空を見上げ、眩しそうにしている。
A「もう、九月も半分過ぎたんだね」
秋になろうとしている空を、再び見上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やまぱん
| 作成日時：2018年5月14日 22時
