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付き合い始めの恋人同士じゃあるまいし。
そんな甘い言葉、言わないでよって思ったけど。
もしかして、会いに来たいのは、私じゃなくて桃ちゃんかもな…なんて思ったら、一人で恥かしくなっちゃった。
二日間も会社を休んじゃって、夏休み中に出勤してたからいいんだとか言うけど、やっぱり心配で・・・
さっきトイレから出た時、背中を向け電話をしてたのが多分伊野ちゃんで。
何度も「ありがとー」を繰り返してたから、なんとかしてくれたんだって思って。
今度は大きな声で「母乳?!」なんて言ってるから、また伊野ちゃんに、からかわれたんだろうなって。
お礼は母乳でいいよ、とか言われたんでしょ?
だって
有岡「まだ、俺だって飲んでないんだから、ダメ!!」
・・・・・・大貴、大きい声で何言ってんのよ。
有岡「ダメなの?」
「飲むの?」とか言われたのかな?
面白いから見てたいけど、周りの目も気になるし、大貴の肩を叩いた。
有岡「わりぃ、A出てきたから・・・うん、うん、分かってるって。
じゃあ、月曜ね」
妻のトイレにまで付き添ってくれる、良き旦那様なんだから「無理しても来たい」は、私に会いたいって思ってくれてる事にしとこ・・・
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土曜日は、面会時間の11時に現れなかった。
来なくてもいいと言いつつ、待ってる自分がいる。
看護師さんに呼ばれたので、大貴にはLINEで「授乳してきます」とメッセージを送り、一人でゆっくり歩きながら、授乳室に向かった。
桃ちゃんが大泣きしてて、顔が真っ赤で。
やっぱり「桃」じゃなくて、「赤」だよなって思った。
まずオムツのチェックをして、オッ パイをあげる。
新生児用の体重計で、体重を測ってから、やっと抱き抱える。
A「ごめんね、お待たせー」
必死に食らいつき、目に涙をため、満足そうに飲む姿は、本当に可愛くて。
力強く吸うから、痛いんだけど、幸せそのものだった。
反対側もあげようと、向きを変える一瞬でも泣いていて。
A「違う違う、反対もね、飲もうね?」
食いしん坊な桃ちゃんが、頼もしい。
次第に吸う力が弱くなり、口が動かなくなり。
目を閉じて、寝てしまっていた。
私もそのままうとうとしてたら、看護師さんに肩を叩かれ、コットに戻すようにと言われてしまった。
看護師「お昼来てるから、しっかり食べてきて」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年5月14日 22時