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大貴に言われたように、眠ってる桃ちゃんの手の中に、小指を入れた。
A「やっば、小さいよね」
有岡「はい、俺らも手をつなぐの。
輪になるでしょ?」
A「ふふっ、大貴って可愛いね」
有岡「別に、可愛くねえし。
ただ、俺だってAと手をつなぎたいだけ」
A「だから、それが可愛いって・・・」
つないでた手が、急に恋人つなぎになって、椅子に座ってる私の目の前に、大貴の顔が近づいた。
有岡「ホントは手じゃないとこだってつながりたい」
A「え・・・な、何・・・」
病室で、子供と手をつないだまま、何言ってんのって思ったけど。
いつもの、ずるいやつ・・・
笑顔を消して、ちょっと寂しそうな顔をする男な顔。
すぐに唇が触れて、ドキッてした。
昨日もしたけど、今日はなんか・・・何て言うか・・・
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カッコいい・・・
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桃ちゃんと大貴の手をほどいて、ゆっくり立ち上がった。
A「少し横になりたいし、連れてってくるね」
有岡「俺も、行く」
新生児室に寄ったあと、トイレにも寄って。
ずっとそばにいてくれる大貴に対して、安心感を感じてて。
年下の頼りなさを、全然感じなくなってる事に、嬉しくて頼もしかった。
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私が寝てる脇で、ベッドに突っ伏して寝てたり、
私の夕飯の時間に、コンビニ弁当を一緒に食べたり、
看護師さんに呼ばれて、新生児室の隣の部屋で、二回目の桃ちゃんの授乳のチャレンジの時は、離れ離れだったね。
有岡「どうだった?」
A「看護師さんが、少しマッサージしてくれたら、出たの!
すごくない?」
有岡「桃ちゃん、飲んでた?」
A「うん!初乳って大切っていうから、頑張らないとな」
狭いカーテンの仕切りの中で二人っきり。
ベッドの頭の角度を上げ、座れるようにしている。
立っていた大貴の上半身が伸び、ギュッと抱きしめられた。
A「私・・・お風呂に入れてないから、あの・・・」
有岡「別に気になんねえし。
そんな事より、お腹が小さくなって、やっぱり近づけるようになったな」
A「そ、そうだね」
面会終了のアナウンス…
有岡「また明日な」
A「毎日は大変だから、無理しないでよ?」
有岡「無理をしてでも、会いに来たい」
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作者名:やまぱん | 作成日時:2018年5月14日 22時