月アカリ蒼い恋 4（Daiki.A) (ページ44)

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いよいよ、挨拶に行く日になった。

週末に二人で美容院に行ったし、久しぶりにしっかり化粧をして、ヒールをはいた。

大ちゃんにもらった紺のスーツ・・・

嬉しいというより、緊張感が増す。

ブランドのスーツに気持ちが負けそうだけど、初めて電車で遠出をするダイキが、興奮してるから気が紛れる。

ダイキ「ママ、おそとみたい！」

A「じゃあ、お靴脱ご」

座席で足をプラプラさせてるのが、前に立ってる人に当たりそうで気になってたから、それがなくなるのは良かった。

靴を脱がせ、後ろを向いて窓から見えるものを、指をさして私に教えてくれている。

見慣れた海を「うみだね」って嬉しそうに言っていた。

きっと、すぐに指が追い付かなくなるだろう。

東京の街並みを、なんて表現するだろう。

近々、住む事になる東京を、好きになってくれるかな。

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ダイキ「ママ、おちゃ」

やっぱり外を見る事に飽きてしまった。

休日の電車は、東京駅が近くになるにつれ、どんどん混んでいく。

そのせいか、グズグズしだした。

ダイキ「ママ、だっこ！

　だっこ！・・・コンッ！」

靴を脱いだままのダイキが、私のももの上に乗って、私の首に腕を回した。

その瞬間・・・・

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あっ・・・・これって・・・・

ダイキの背中に手を当てると、息がゼイゼイと音がして、肩を上げて呼吸をしていた。

A「ダイキ、お胸、苦しい？」

眉間にシワを寄せ、頭を縦にコクンと振った。

やっぱり、喘息の症状が出てるんだ。

ダイキ「マーマ！」

泣きそうな声を出したので

A「大丈夫だから、泣いたり喋ったりすると苦しくなるから、そのままママにギュッてしてて。

　大ちゃんに連絡するね。大ちゃんに、診てもらお」

慌てて、大ちゃんにもらった黒のバッグからスマホを出し、LINEでその旨連絡をした。

大貴『薬ある？』

A『発作用の吸入剤あるけど、電車の中だし、ダイキ上手く出来ないかも』

大貴『わかった。

　もう、東京駅いるから、あと10分くらいだよね』

A『うん』

大貴『何両目に乗ってる？』

A『5両目』

最後の『5両目』には既読がつかなかった。

A「ダイキ、大ちゃん来てくれるから大丈夫だよ」

小さい手が、紺のスーツの上着を弱々しく握った。

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