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A「いいけど、子供の写真とか誰かに見られないようにね」




大貴「大丈夫だって」




私に画面を見せないように、まだ何か操作してて。

ダッシュボードの上のスマホホルダーに置かれた大ちゃんのスマホが、すごい勢いで何か反応していた。




当たり前だけど、そのスマホは最新のものになっていて。


スマホケースも、当時使ってたものと違っていた。


私は、怖くて大ちゃんのカメラロールなんて見れないなー。






手持無沙汰になり、さっき突然もらったご褒美の事を思い出し、人差し指で唇を触ってみた。








そういう事、簡単にしちゃうとこ、変わってない。


2年半くらいで、5.6人と付き合っちゃう辺りは、相変わらずなのかな。










私だけが、取り残されてるような、寂しい気持ちになった。









大貴「ん?どした?」





A「いや、何でもない・・・」





大貴「はい、ありがと。

  あの頃の写真もまだあったから、それも貰っといたから」








その言葉で、急に寂しい気持ちになった。

私は、子供も出来たし、もう違う人と恋をするなんてあり得ないと思ってた。

だけど、大ちゃんは、いっぱい恋をしてたんだよね。

私との写真も、全部、捨てちゃったんだ・・・

その原因を作ったのは、私自身なのに、写真と一緒に私も捨てられた気分になった。





A「うん・・・」





大貴「新しいスマホにしないの?」





A「うん、そうだね」




お金がないからなんて、言えない。

だから、嫌味っぽい事を言って、誤魔化した。





A「好きな人との思い出のスマホだから・・・」





出発する為に、シートベルトをしようとした手が、胸の辺りで止まり、私を見た。





大貴「俺、新しいのにしようかと思ってるから、一緒にお揃いにしない?」





A「んー、考えとく」





お医者さんとは、やっぱり金銭感覚が違うしね、無理だよね。


車はやっと出発し、大ちゃんのオススメのレストランへと向かった。





海岸線にある、素敵なイタリアンのお店。


こんな静かなお店に入るのは、久しぶりだ。





案内された席からは、遠くに江ノ島が見えた。





大貴「適当に頼んでいい?」




A「うん・・・」




そういうとこも、大人になったなって思って、やっぱり私の知ってる大ちゃんではなかった。





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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年11月5日 12時

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