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紙の上に、指を置きながら、一つずつチェックしている。

有岡くんにチェックされる日が来るなんて、私も落ちぶれたもんだわ。

なーんて、嫌な事考えてる理由は、「いや!」って言ったのに見られちゃったから。



有岡「大丈夫だな!」


A「うん、じゃあ、私が持ってるね」


そう言って、婚姻届を奪おうとしたら、スッと私の届かない、上の方にあげてしまった。



有岡「何?なんか、変なんだよ。

  一緒に書こうねって言わなかったけ?

  まさか、再婚とかじゃないよね。そこの欄は書いてなかったけど」



A「別に、そうじゃないけど。

  なんでも、ないって!」



有岡「じゃあ、読み上げてみるね」



A「キャー!、やめてよ」



有岡「なんだよ!

  夫婦になるのに、秘密はダメだかんな!」



A「秘密になんかしてないけど・・・」



有岡「やっぱ、何かあるな。

  えっと・・・」



もう、大貴の側にいたくないから、可愛いドレッサーの前で化粧を始める事にした。



しばらくして、紙を持ったまま近づいてきた。



有岡「ねえ、知らなかった事が一つあったけど。

  もしかして、そんな事気にしてんの?」



眉間にシワを寄せたまま、大貴を見上げた。



有岡「別に、昭和だって、いいじゃん」



言われたくない言葉を発したので、ファンデのパフを投げつけた。



A「もー、知らない!言わないでよ!」




私だって、今まで生きてきて、こんなに昭和生まれだった事が、イヤだって思った事なんてなかった。


昭和63年生まれは、昭和と平成がいる学年。


昭和っていうだけで「ゆとり」とは思われずに、ラッキーって思ってきた一人だ。


それなのに、それなのに、彼氏と・・・旦那様になる人と、元号が違うなんて、イヤ!




昨日、星を見上げた時とは違う「わーーん」という声と共に、目がビシャビシャになった。





有岡「コラッ!A!」




大貴は、持ってた紙を離し、私をグッとお腹辺りに抱き寄せ、背中をゆっくり撫でた。




有岡「泣くなって、目が腫れちゃうじゃんか。

  全然気にする事じゃないし、知らなかった俺が悪かった。

  高木さんが平成二年生まれで、Aはその一つ上だから、

  平成元年くらいかと思ってた。

  高木さん、早生まれだったんだよな」




少し落ち着いてきたけど、大貴はずっと撫でてくれた。


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作者名:やまぱん | 作成日時:2017年5月21日 18時

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