第七十章 ページ23
「......左之さん....」
気づいたら私は一人の人の名前を言っていた
「ーーーーー!!!!」
ふとどっからか声が聞こえ、辺りを見回す
どんどん近づいてくる声に耳を傾ければーーー
「ーーーー夕奈!!!何処にいる!!」
「左之さん....?」
良く知る人の声、私がさっき無意識に名前を呼んでいた人
こっちに向かって走ってくる左之さんを見つけて思わず涙目になる
重い籠を揺らしながら小走りで左之さんに向かう
「夕奈っ!!!」
「左之さん...っ!」
走って来た左之さんは必死な顔して汗だくで、そのまま私を抱きしめた
息も切れてて長い事私を探してくれてたんだという事がわかる
私も左之さんの背中に腕を回して抱きつく
今までの不安が嘘のようになくなり、安心感に包まれる
「馬鹿野郎!!買い物に出たって聞いてから帰って来ねぇから心配したんだぞ!...無事で良かった」
「ごめん....。帰ろうと思ったら道に迷っちゃって...来てくれてありがと」
無事を知り、安心した表情で私を見る左之さんに愛しさがこみ上げる
あぁ、もう認めよう
私はこの人が好きだ
でも、想いを伝えることはできない、しちゃいけない
左之さんは私をもう一度強く抱きしめた後、体を離して頭に手を乗せながら「帰るか。みんなも心配してるしな」と言って私から籠を奪って左之さんが背負う
「ちょ、左之さん籠重いから私持つよ!」
「何言ってやがる。女にこんな重い物持たせるわけにゃいかねぇよ」
「でも...」
「いいから、行くぞ。ん」
食い下がる私に優しく微笑んでから、手を差し伸べられる
何だこの手?
意味がわからず首を傾げて左手を見ていると
「また迷子になられたらたまったもんじゃねぇからな。逸れないように手繋ぐぞ」
左之さんの言葉に私は驚きを隠せない
手なんて繋いだらドキドキしすぎて死ぬ!!
って、ウブな乙女か私は!!
「...えっ!?いや、大丈夫!逸れないようにちゃんとーーー「いいから、ほら!」ーーッ!!」
左之さんは私の右手を掴んで歩き始めた
私の右手は左之さんの手の中にすっぽりと収まってしまっている
繋がれた手を見て乙女のようにドキドキしてしまうのは、きっと相手がイケメンで無駄に色気を振り撒いているからだろうと思いたい
心配かけたから大人しく手を繋いだまま屯所に向かったけど、その間ドキドキしたのは言うまでもないが、バレちゃいけないから普通を装った
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ぷー(プロフ) - mizu217(ニイナ)さん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!!キャラ崩壊してないかとか色々心配ですが...かっこよく書けててよかったです! (2017年8月25日 12時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
mizu217(ニイナ)(プロフ) - もう、無理です。左之さんかっこよすぎです〜!! (2017年8月25日 4時) (レス) id: 908cde38bf (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» お心遣いありがとうございます。優しさが心に染み渡ります...!これからもこの作品に目を通していただければと思いますので、よろしくお願いします。 (2017年8月24日 8時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
Asora(プロフ) - ぷーさん» いえいえ! こんな事言える立場では無いですが無理はしないでください!何時迄も楽しみに待っていますので! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 32969ac174 (このIDを非表示/違反報告)
ぷー(プロフ) - Asoraさん» ご指摘ありがとうございます。全然気付きませんでした...!!また何かありましたら、教えて頂けると嬉しいです。そして、嬉しいコメントありがとうございます。そう言っていただけて本当に嬉しい限りです。これからも楽しんで頂けるよう頑張ります! (2017年8月23日 22時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月21日 10時