第三十七章 ページ6
「無事か！？怪我はねぇか！？」
「うん、大丈夫。心配かけてごめんなさい」
「はぁ....無茶すんじゃねぇよ」
私の目の前まで来て、勢いよく両肩を掴まれ確認される
そんな彼の姿を見れば、どれだけ心配してくれたのかは一目瞭然
彼にも素直に謝罪した
無事がわかって安堵の表情を浮かべ、小さく微笑んだ左之さんを見た瞬間、気が抜けたのか、人を斬った感触、音、重さ、血の匂いを一気に思い出し手が震えだし目の前にいる左之さんの胸に頭を押し付ける
「もう大丈夫だ。よく頑張ったな」
優しい声で言いながら私をぎゅっと抱きしめてくれた
その暖かさに気付いたら涙が頬を伝う
弱い所は見せないと決めていたのに
左之さんの温もりに触れて、優しさに触れて、そんなものは崩れ去る
左之さんは気付いてるかもしれないけど、何も言わずただ優しく抱き締めてくれていた
私は他の人に気づかれないよう、静かに涙を流した
そして、新選組の名が知れ渡ることとなる池田屋事件は、一人の犠牲者と数人の怪我人を出し幕を閉じた
屯所の広間に幹部達がみんなで輪になって座っている
そこに千鶴が石田散薬を持って来てけいちゃんの前に置いた
「お薬です」
「おや、私も飲むのですか？左腕の傷はもう塞がっていますよ」
「でも、土方さんが山南さんにもって」
千鶴と会話をするけいちゃんはチラッと視線を土方さんに向ける
すると土方さんの隣に座っていた総司が薬を口に運びながら言い、粉薬を口内へと流し込む
「山南さん、諦めましょ」
「副長命令とあれば」
ふっと小さく笑えば、けいちゃんは石田散薬を手に取った
その仕草をボーッとしながら見つめて考える
総司をあのタイミングで助けたことによって、少しでも歴史が変わるとしたら？
もしかしたらもう、変わってるかもしれない
歴史は変えない、変えちゃいけないって思って今まで過ごして来た
なのに、私はあの時助けてしまった
総司に大怪我をさせたくない
あのまま蹴られてて、その拍子で労咳の症状が一気に出て来たとしたら...
そう考えたら、助けるという選択肢しか出てこなかった
蹴られたからといって、労咳の症状が出始めたなんて確証はない
ただの憶測でしかない
そんな憶測で歴史を変えてしまったかもしれない
私は、なんて事をーーー
手当てされた拳を強く握り締めながら俯き、唇を噛み締めた
第三十七章
￣￣￣￣￣
(助けたい気持ちで、歴史の事なんて頭になかった...今更不安が押し寄せる)
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ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (
レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが？ (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月17日 11時
