第五十五章 ページ39
変若水を飲んだけいちゃんは苦しみ出し、髪も白く変わっていく
それを心配した千鶴が近付こうと私の前に出てしまった
「!!馬鹿、千鶴!!」
「えっ、きゃあ!!」
慌てて千鶴の腕を勢いよく引っ張りけいちゃんから遠ざけようとしたが、彼の手が千鶴に向かって伸びる
まずい!!
腕を引っ張る勢いを利用して、入れ替わるように自分が前に出てた
「ーーッ!!」
するとけいちゃんの手が私の首を捉える
羅刹になった彼の力は凄まじい
急激に酸素を失っていく身体は、まるであの時の死ぬ間際のような感覚に陥る
「っ、ぁ....」
「夕奈ちゃん!!!」
「ククククッ」
千鶴の焦った叫び声が聞こえるのと、けいちゃんの笑い声が聞こえる
苦しい
力の入らない手で必死にけいちゃんの腕を掴む
「....けい....ちゃ...ッ」
このままだと死ぬ
そう思った時、けいちゃんの目の色が元に戻り首から手が離れ膝から崩れ落ちる
「ーーッ、ゲホッゲホッ....ゲホッ!!!」
「夕奈ちゃん!!」
遮断されていた酸素が急激に口と鼻から入ってきたため、激しく咳き込む
床に片膝をつき咳き込む私に慌てて近寄り、心配してくれる千鶴を守るために、体に鞭打って立ち上がり背中に隠す
「はぁっ、はぁっ...」
「...くっ...失敗したようですね...自分で思うより....私は、賭けに弱かったようです....」
私は息を整えながらけいちゃんを見て、刀に手を掛け鯉口を切る
「夕奈ちゃん!?まさか、山南さんを斬るつもりじゃ...!!」
「...千鶴は誰か呼んできて」
「でもっ...「早く!!」....う、うん!!」
中々動かない千鶴に少し大きめの声で行くように促せば、慌てた様子でけいちゃんの部屋から出て行った
「桐生君...っ...早く、私を殺して下さい...ぐっ...」
「けいちゃん....」
もうすぐ土方さん達が来てくれるはず
それまで時間稼ぎができれば...
「っ、ぐ...あ゛ぁ!!!」
「ーーー!?」
どうやって時間を稼ごうか考えていると、目の前の男は苦しみ出し先程とは打って変わって狂気に満ちた目になっていた
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ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが? (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月17日 11時