第五十章 ページ32
「もし、貴女」
「何か、ご用ですか？」
千鶴が庭で飲み終わった焼酎の入れ物を水につけていると、背後から伊東さんに声をかけられる
「どうして、貴女のような方がこのような所にいらっしゃるのです？」
「えっ？」
「隊士、ではないですよね」
伊東さんはゆっくりと千鶴に歩み寄りながら、鋭い眼差しを向けて質問している
そして、千鶴に近付いたその時ーーー
「沖田さん！」
総司が部屋の戸を勢い良く開け放ち、刀を抜いて一気に伊東さんに振るう
それを避けた伊東さんは総司を見ていたが、総司の振るった刀の先に乗っている花へと視線を移す
「男所帯で、華がないものでね。折角伊東さん達がいらしてるんだし、せめて目の保養にと」
「まぁ、綺麗。でも、刀で斬るなんて、随分と荒っぽいんですわね」
斬った花を伊東さんに向かって差し出せば、伊東さんは切先に乗っている花を取り、匂いを嗅ぎながら鋭い視線で総司を見る
「少々荒っぽい所が、天然理心流の流儀なんです」
しかし、そんなものを物ともせず普段通りの態度で話をしながら、刀を鞘に収めた
その光景を見ていた私は、ゆっくりと歩き出し総司と伊東さんの横を通り過ぎて千鶴の側へと来れば立ち止まる
「あら？貴方は...」
「新選組にお世話になっている者です。桐生と申します。お見知り置きを」
千鶴の手首を掴んで自分の背中へと移動させ庇う
そして、伊東さんに挨拶をすれば彼は私を下から上まで見て確かめる
あぁ、この視線は気に入らないな
気持ち悪い
「君、まだ後片付けが残ってるんだろう？早く戻りな」
「は、はい！」
総司が言った言葉に千鶴は慌てて頷き、私を見上げてくる
私も小さく頷けば、彼女は走ってその場を離れた
「お花、ありがとうございました。沖田さん」
去った千鶴の背中を見てほんの少し口角を上げた伊東さんは、総司に向かってお礼を言い歩き出した
「ふぅん」
その後ろ姿を見て、何を思ったのか総司はニヤリと笑った後に私の方を向いて聞いて来た
「夕奈ちゃん。君はなんで出て来たのさ」
「え、千鶴に対しての態度が気に入らなかったから」
正直に本当の事をサラッと言った後、二人でふっと笑い部屋へと戻った
第五十章
￣￣￣￣
(伊東甲子太郎。あの人は生理的に合わない気がする)
(桐生と名乗ったあの者は一体何者なのか、調べておこうかしらね)
(夕奈ちゃんって、本当こういう時は度胸あるよね)
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ぷー(プロフ) - 神崎舞様。気付かず申し訳ありません。ご指摘ありがとうございます。早急に直させていただきます。また何か気付いた点などがございましたら、仰って頂けると嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年8月18日 11時) (
レス) id: 557e5927c8 (このIDを非表示/違反報告)
神崎舞(プロフ) - 名前変換されないで夕奈のままになってる話が何話かあるのですが？ (2017年8月18日 9時) (レス) id: 348d6ee4b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月17日 11時
