千鶴side ページ43
「そっか、帝王切開だったからお腹に傷があったんだね。でも、夕奈ちゃんの時代は凄いんだね。あんな綺麗にできるなんて」
「時代が変われば、技術も新しくなるからね」
その言葉にそっか、と小さく呟いてから納得する
次に気になっていた事も聞いて大丈夫かな?と思いながら質問して
「その、指に付けてるやつはなんて言うの?」
「これはねー、左薬指にしてるこれは指輪って言うんだ。異国の文化で、夫婦になって愛を誓い合った人達がこの指につけるものなの」
指輪って言うんだ
愛を誓い合った二人が付けるものかぁ
今の時代には無いものだし、目に見えるそういうのっていいな
「何だか凄く素敵!」
「二人で一緒に選んで、離婚とかしない限り一生付け続けるお揃いの物だからね。凄く大切な物だよ」
夕奈ちゃんは、はめている指輪を弄る
その指はとても愛しいものに触れるかのように優しく、眼差しは暖かくけど何処か憂いを帯びていた
夕奈ちゃんの全身から伝わって来る
その指輪はとても大切な物で、愛する人も赤ちゃんも、本当に大切でかけがえの無いものだったんだという事が
もう会えないという事が、どれ程辛いだろうどれ程悲しいだろう
父様に会えなくて、悲しい気持ちはあるけど、自分が愛してその人との間に生まれた子とはまた全然違うんだと思う
何か私にも出来ることがあればいいな....
会話をしながら障子に向かって歩いて行く夕奈ちゃんの背中を、私は何とも言えない気持ちで見つめていた
千鶴side
 ̄ ̄ ̄ ̄
(夕奈ちゃんに愛された二人が、少し羨ましいと思った)
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作者名:ぷー | 作成日時:2017年8月11日 20時