原田side ページ28
「お前、それ痛いだろ。今解いてやるーーーってこりゃ強く縛りすぎだろ総司の奴！」
「.....っ」
なるべく優しく解いてはいるが、思った以上にきつく縛られていたため、縛った総司に若干の怒りが募り
「っし、取れたぜ。わりぃ、大丈夫か？」
「大丈夫です。すみません、ありがとうございます」
「....悪りぃな。女の身体にこんな後つけちまって。相当痛かったろ(こんだけくっきり跡がつくくらい強く縛ってやがったのか...総司の野郎)」
「いえ、これくらい大丈夫です」
目の前の女は大丈夫だと言っているが、縛られていた手首はくっきりと跡が残っている。
強く縛られ過ぎて青白くなっていた手先が徐々に赤みを帯びて行く。
俺は申し訳なくなり、眉をひそめ夕奈を見る
横から溜息交じりの声が聞こえ、視線をそちらに移せば、土方さんが何とも言えない表情でこちらを見ていた
「.....おい原田。何てめぇは勝手に縄を解いてやがる」
「悪りぃな、土方さん。けど、新選組お預かりってなったのに、いつまでも縛ってちゃあ可哀想だろ？」
「ったく。てめぇは甘いんだよ。行くぞ桐生」
「あ、はいっ」
土方さんは俺を睨みながら低い声で言うが、俺は気にせずいつものように笑いながら会話をする
俺に甘いと言って来た相手を見れば、あんたも大概甘いと思うぜ、なんて心の中で思うが口には出さず
行くと言って土方さんは広間を出るために歩き出すが、夕奈は俺に向かって軽く一礼してくる
そんな律儀な態度に頬が緩み、頭を上げてすぐにポンッと自分より低い相手の頭を撫でる
驚いているのか目を見開き俺をジッと見つめ、こいつの目線を少しでも独り占め出来たなんて心の狭い事を思いながら「また後でな、夕奈」と言いながら微笑んで
少し固まっていた夕奈は土方さんの声でハッとして、俺にまた軽く会釈すれば小走りで土方さんの元へ向かい
そんな後ろ姿を見て、自分でもわかるくらい頬が緩んだのがわかった
原田side
￣￣￣￣
(初めての笑顔は俺に向けて欲しかった)
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月11日 20時
