第四章 ページ11
「.....斎藤、昨夜の事を報告してくれ」
「はい。昨夜、屯所から失敗した隊士が脱走し市中で町人を斬りつけているのを確認。町人は我々が駆けつけた時には、既に息はしておりませんでした。後を追うと、逃げた三人がその者を取り囲んでいるのが見えたので我々で処理しました」
「ーーーそうか。その町人は助からなかったのだな.....」
「おい、お前。斎藤が取り囲まれてたって言ったが....見たんだな？」
私が座ってから、土方さんが報告を促せばはじめくんは簡潔に話す
そしてそれを聞いた近藤さんは、悲しそうな表情を浮かべて少し俯く
再び土方さんが口を開けば鋭い声色で私に聞いて来た
嘘をついてもここの人は簡単に見破れる
なら、嘘などつかずに全て正直に答えようと決め私は口を開く
「ーーー見ました。私を、殺しますか？」
昨夜、総司に言ったことをまんま土方さんにも言う
真っ直ぐ見つめて視線はそらさずに
「あぁ。てめぇを殺す」
ーーーチャキンッ
土方さんは立ち上がり刀を抜けば、私の目の前へと切先を向ける
私を見下ろすその目は冷たく、殺気に満ちていた
流石にこの殺気を実際に浴びると、すごく怖い
気を抜けば今にも震えてしまう
でも、そんな事は絶対にしない、弱みなんて見せてたまるかと決意しながらずっと土方さんを見据える
「ーーーっ！！！」
何処からか息を飲むのが聞こえるのと同時に、戸惑ったような声が聞こえて来た
「ト、トシ。いくらなんでも女子を殺すと言うのは...」
「近藤さん。何言ってやがるんだ！こいつは見ちゃならねぇものを見ちまった、俺たちの秘密を知っちまったんだぞ。殺すしかねぇんだよ」
「し、しかしだな....」
会話をしながらも私に向けられる切先は降ろされることはない
視線もずっと私に向けられている
昨夜ここに来たばかりの時に考えていた事が脳裏をよぎった
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作者名：ぷー | 作成日時：2017年8月11日 20時
