不 健 全 な 吉 沢 さ ん

４９ ページ49

吉沢side




なんなんだよコイツ



河瀬さんの知り合い？



でも、後ろで震える彼女を見ると

そういう風には思えない。





『とにかくもうAには関わらないでください』




低い声で俺はそう言い放って、


彼女を連れて去ろうとした





「待ってよ」



さっきから何か混乱してる様子のこの男


今度は俯いてまた話し出す




コイツはただ河瀬さんが好きなの？




「本当に、この男と付き合ってるの？河瀬さん」




俺じゃなくて、俺の後ろにいる彼女にそう聞く



俺も少しだけ振り向き



彼女の返事を待った







「はい、付き合ってます」




怖くてなのか



頬に涙が沢山流れてる



手の震えも止まないし...



ほんとこの場でこの男を殴りたいくらい腹立つ









「そ...っか、わかったよ もう付きまとわない」




男はボソボソっとそう言うと、


荷物を手に取り、どこかへと行ってしまった。









静かな公園に戻る





『...おいで』


彼女の腕を優しく引き、そっと抱きしめた



まだ小刻みに震えてる...

そりゃそうだよな、



もし俺がここ通ってなかったら...

って考えたくもねぇ






ほんと探しに来て良かった。






「...ありが、とう ございます」




俺を見上げて言う彼女の頬に伝う涙を指で拭う



なんだろ...


そんな河瀬さんを見て




すごい脈が速くなった。



...見つめられてるから？


あの日と同じ感覚



また、キスしたくなる感覚だ









.









.









気づいたら俺は彼女の唇に自分の唇を重ねていた。

移行のお知らせ→←４８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す