好きだなんて 【宮侑】

38 苦手 ページ38

花火大会まであと3日、

これと言って宮くんと進展もないまま

だらだらと時間がすぎて行った。





｢もうすぐやね、花火大会｣

｢そうだね、1週間て早いなぁ｣

｢ね、当日屋台あるらしいねん！｣

｢早めに行こうって？｣

｢さすが！早く行こ！｣

｢ふふ、いいよ｣

｢やった！｣




美樹はと言うと、

花火大会が楽しみで仕方ないのだろう。

ここ最近花火大会の話題ばかりだ。




｢なんや、花火大会の話？｣

｢みやあつ、女子の会話に気軽に入るもんやないで｣

｢花火大会の話してたのに秘密の話もないやろ｣




ごく自然に会話に入ってきた宮くんは

楽しそうに美樹と話している。

2人の様子を見ながらも、

私は会話の邪魔をしてはいけないと黙っていた。




｢Aちゃん、屋台全部回ろうとか言うんやないで？｣

｢.....言わないよ｣

｢嘘やその感じ絶対言おうとしてたやん｣




滅多にない夏の行事。

ちょっとでも楽しい思い出を残したかったけど

私のやろうとしてる事は、

もしかしてはしゃぎすぎなのだろうか？




｢侑ー、小山呼んでるー｣

｢小山？｣




またも違うクラスの女子からの呼び出し。

教室の入口を見ると、

雰囲気が怖い女の子がじっとこっちを見ていた。

宮くんは面倒くさそうに｢...あー｣と言いながら

その小山さんの方に行った。





｢まだ言い寄ってんのかい...｣

｢小山さん、宮くんのこと好きなの？｣

｢そ。でも見てみあれ。みやあつ全然相手にしてない｣





見てみると、楽しそうに話している小山さんとは別に

宮くんは面倒くさそうに話している。





｢(やっぱり、モテるんだな)｣





じーっと見つめていると、

正面に座っている美樹に手をトントンとつつかれた。






｢好きなん？｣

｢え？｣

｢この〜、白状しろ〜｣

｢や、やだ、何でわかったの｣

｢え？ほんまなん？｣





これは墓穴ほったなと思うと

ぼんっと顔が熱くなった。

新発見、私って恥ずかしがり屋なんだ。





｢えっ！？いつから！？｣

｢ちょ、ちょっと声でかい...！｣

｢ああっ、ごめん...｣





聞こえていないよな、と周りを見てみるが

他の子は友達と話すことに熱中している。

聞かれてはいないようだ。





｢なら、私と花火大会行ってる場合やないやろ！｣

｢でも、友達と行くかもだし｣

｢ガツンといけ！｣

｢ハードル高いなぁ｣





そんな会話をしているとき、

私は小山さんに見られていたことに気付いていなかった。

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