好きだなんて 【宮侑】

39 苦手 ページ39

｢西山｣





放課後、部活に行く準備をいていると

伊藤くんが神妙な顔で話しかけてきた。





｢どうしたの？｣

｢小山が、呼んでる｣

｢え｣




入口の方を見てみると、

休憩時間に来ていた小山さんが私を見ていた。

一緒のクラスになったこともないし、

同じ委員になったこともなかったから

接点もまるでないはずだ。





｢なあ、俺から断っとこうか？｣

｢...ううん、行ってみる｣





目は合っていないものの、

彼女の視線はバシバシ伝わってくる。

小山さんの方に行ってみると、

他にも3人の女の子が居た。





｢ちょっと来て｣





そう一言言われると、

隣にも後ろにも連れの女の子に囲まれて

私は行かざるを得なかった。





｢...｣

｢(この子、無理やり連れて来られてるのかな...)｣





横に立って歩いている女の子は、

他の子と比べたら大人しそうで

唇を噛み締めながら俯いている。

すると、歩いていくうちに人気がなくなってきて

気付けば暫く使われていない空き教室まで来た。






｢あんたはここで見張ってて｣

｢...う、うん｣





背中を乱暴に押されて教室に入ると、

小山さんと他の2人は入ってきたが

大人しそうな女の子が廊下に立ったまま。

目が合うと、目が見開かれると直ぐに逸らされて

ピシャリと扉を閉められた。






｢なんで連れてこられたか分からない？｣

｢...｣

｢はっ...ムカつくなぁ、その顔｣





小山さんは何かイライラしていて、

私を睨みつけてくる。

他の2人はニヤニヤと楽しそうに笑っているか

私を軽蔑したように見てきている。





｢邪魔せんといてよ、西山さん｣

｢邪魔...？｣

｢侑に媚び売ってるみたいやけど、無駄やから｣

｢媚び売ってるなんて...私そんなことしてない...っ！｣

｢じゃあ、今日のは何？侑のこと見てたよね？｣

｢...それは｣





緊張のあまり、喉がひっつく感じがする。





｢私も...宮くんのこと好き、だから...｣

｢チッ...うっざ｣





そう言うと、小山さんは近くにあった机を蹴飛ばした。

びっくりして、小山さんを見ると

その顔はとても怒っていた。





｢いい子ぶって私は無害ですって顔して！｣

｢侑はあんなんじゃなかった！｣

｢あんたと仲良くなってからやっ！｣





頭の中は真っ白。

急にこんなことを言われて、私はどうするべきか。

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