36 苦手 ページ36
次の日はなんの変化もなく訪れた。
昨日の夜、お父さんとお母さんと無事に和解して
気持ちのいい朝を迎えることが出来た。
｢(宮くん、受け取ってくれるかな)｣
私はと言うと、夜遅くまで付き合ってくれた
宮くんにお礼をするために
ちょっとお高めなプリンを買って早めに学校に来たが
早すぎた。教室には誰もいない。
｢(昨日のお礼...って言ったら大丈夫よね)｣
ああ緊張する。男の子に何かをあげることなんて
今までしたことがなかった。でも、あの宮くんだ。
プレゼントぐらい何度ももらったことがあるだろうし
慣れているだろう。心配ない。
｢あ｣
ガラッと教室の引き戸が開く音がして
顔をあげると目を丸くしている伊藤くんが立っていた。
｢おはよう、早いな｣
｢お、おはよう。伊藤くんも早いね｣
｢日直や日直｣
余裕な感じの伊藤くんを他所に、
私はまるでダメダメな様子。
これじゃ、意識してるって丸わかりだ。
｢西山は？なんか当番？｣
｢あ、いや、私は｣
｢誰か待ってんの？｣
｢...うん｣
相手は告白してきた男の子。
私は本当つい昨日好きだと自覚し始めた
男の子を待っている。
しかも、好きな子はいないと言ってしまった私。
あまりのいたたまれなさに返事が小さくなる。
｢ねえ、伊藤くん｣
｢うん？｣
｢この間の...ことなんだけど｣
｢あ、あ〜！返事！早いな！｣
ああどうしよう。
なんて言われるか知れたものじゃない。
汗ばんだ手の震えを抑えるようにギュッと握った。
｢伊藤くんとはお付き合い、出来ないです｣
｢じゃあ、理由を聞いても？｣
しばらくの静寂。
緊張して上手く声が出なかった。
｢好きな人、いるの｣
｢...｣
｢私が好きだって気付くのが遅すぎた
ごめんなさい、いないって言ったのに...｣
｢.....そっかぁ〜｣
はぁ〜と長いため息を吐いて、
伊藤くんはしゃがみこんでしまった。
どうしよう、怒ってるかな。
｢良かったぁ〜｣
｢え｣
｢てっきり嫌われてるんかと｣
｢まさか！｣
｢ははっ、まあ好きな子に嫌われるのは1番キツいし｣
｢伊藤くん...｣
｢正直な話、西山その手の話には疎そうやって思ってた｣
｢なっ、何それ〜｣
｢ははっ、そのままの意味｣
顔を上げた伊藤くんの目は少し涙ぐんでいて
｢応援する、絶対。｣
｢...ありがとう、伊藤くん｣
ちょっと、切なかった。
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
