35 苦手 ページ35
｢もう、あんたって子は...っ｣
｢ご、ごめんなさい...｣
｢...あなたは、謝ってばかりね｣
だって、それしか言いようがないじゃない。
私が悪いんだから。
すると、お母さんは優しく私の手を握った。
｢でも、そうさせてしまったのはお母さんたちね...｣
｢え？｣
｢A...あなたが邪魔だとかいらないとか思ってない。私たちにはあなたが必要なの｣
｢...お母さん｣
｢ごめんなさい...帰ってきてくれる？｣
私の手をとるお母さんの手は酷く震えている。
｢うん...帰りたい｣
帰ってもいいんだという安心感からか、
お母さんに握られている私の手も震えた。
｢ありがとう.........ところで｣
｢ん？｣
私のすぐ側にたっていた宮くんに
お母さんが視線を向けた。
｢えっと、クラスメイトの宮くん｣
｢どうもぉ｣
｢あ、クラスメイトの子なの。私てっきり...｣
｢え？｣
てっきり？
｢宮くん、こんな時間までAと一緒にいてくれてありがとうね｣
｢ああ、別に大したことじゃ｣
｢ううん、本当に感謝してるの。ありがとう｣
｢てっきり｣、なんだったんだろう。
宮くんとお母さんが話している間にも、
私はずっとそのことばかり考えていた。
もしかして、私たちはクラスメイトに見えなかったとか？
｢じゃ、俺帰るわ｣
｢あ、うん。1人で平気？｣
｢子どもか！平気や！｣
｢ふふっ、そっか｣
じゃ！と軽く手を挙げて宮くんは
走って帰って行くのをお母さんと2人で見届けた。
｢A｣
｢ん？｣
｢あの子のこと好きなの？｣
｢え？！ないない！｣
否定はしたものの、多分、という言葉は
喉の奥に引っかかっていた。
｢そう｣
｢なに？｣
｢お母さんてっきり、好きなんだと思ってた｣
｢...｣
｢お母さんが言えたことじゃないけど、
自分に正直にね｣
｢...うん｣
｢さ、帰ろう。お父さんも待ってるわ｣
泣いてしまったとき、宮くんに対して
どう思ってるかを認識したはずだ。
もう、苦手なんかじゃない。
私をいじってくる意地悪なところもあるし、
私を惑わすような事も言ってくる。
でも、本当は優しくて眩しい人だと思った。
｢(あー、もう手遅れかも...)｣
ねえ、最初の頃苦手って
言っちゃったけど撤回していいかな。
好きって言ったら、どうする、宮くん。
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黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
