32 苦手 ページ32
部活も終わった頃には夜になっていた。
家に帰って玄関で靴を脱いでいると
両親の靴が揃えて置いてあるのに気付いた。
仕事早く終わったのかなと思っていると
リビングの方から2人の声が聞こえてきたが
それは到底楽しそうとは言えない雰囲気だった。
｢(なに？)｣
扉のドアノブに手をかけたとき、
2人の会話が聞こえてきた。
｢私だって仕事で疲れてるのよ！
どうして私ばかりあの子の面倒見なきゃいけないの！？｣
｢だから、仕事は俺だけで十分だって言っただろ！
それで言うことを聞かなかったのはお前だ！｣
｢あなただってあの子の親なのよ！
まだお金だってかかるってのに！
少しはあの子が居るってことも考えて！｣
扉を開けようとした手が止まった。
間違いなく私のことを話していた。
｢だいたい、あなたはいつもそうやって__｣
｢っ！待て！A...そこに居るのか...？｣
｢あ...ただいま...｣
私の顔を見るなり、
2人は急に黙り込んでしまった。
私のことを迷惑だと思っているような話ぶりだった。
｢あ、私、これから友達と遊ぶ約束してるんだ｣
｢！Aごめんなさい違うの...！｣
｢遅くならない程度には帰ってくるから、じゃあ｣
無理やり部屋に荷物を置いたあと、
着替えないでそのまま家を出た。
･
･
･
外の空気を胸いっぱいに吸い込んだら
不思議と気持ちは落ち着いた。
｢(スマホ、置いてきちゃった)｣
｢(今何時かな)｣
ぶらぶらと歩き過ぎた、
気付けば花火大会が開催される神社の
近くまで来てしまっていた。
｢(あ、そうだ浴衣出さなきゃ。お母さんに頼んで...)｣
って、あんな調子で頼めるわけない。
帰りづらいなと悩んでいると
背後から足音が聞こえてきた。
そういえば確か、ここら辺て痴漢事件あったって
テレビでやってたような...。
｢(ま、まさか〜)｣
とは思いながらも、歩くスピードを上げれば
後ろの足音もそれに合わせて近付いてきている。
やばい、着いてきてる。
そして、いよいよそれはすぐ背後に来て
ガっと私の右肩を掴んだ。
｢わっ、私っ、グラマーじゃないので！やめて下さい！｣
ぎゅっと目を瞑って身構えていると
痛いことや不快なことも特にされない。
目を恐る恐る開けると
｢グラマー...？｣
驚いた顔をしている宮くんがいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黎子(プロフ) - ちごさんさん» コメントありがとうございます！ただのオリキャラで当て馬というだけで不憫すぎない？？？と勝手に思ってしまって良い奴にしちゃいました…身の回りにもいて欲しいもんですこんないい男…。更新頑張ります！長々とすみません！ (2022年8月2日 18時) (
レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
ちごさん - なんか、伊藤くんめっちゃ良い人(笑)おもしろいです。更新待ってます。 (2022年8月2日 18時) (レス) @page45 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 月花さん» コメントありがとうございます！続き書きたいんですけどね…なかなかまとまらなくて…すみません！！！！！！！！ (2021年10月29日 12時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、とってもおもしろいです！めっちゃいいとこ(？)で止まっちゃってるのですごく続きが気になります……！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2021年10月29日 5時) (レス) @page44 id: 9a5d2125ff (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 羅門さん» コメントありがとうございます！わあああああ嬉しすぎますね…拙い文ですが楽しめたなら何よりです！頑張って更新しますので！頑張ります！！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黎子 | 作成日時：2018年9月30日 0時
