29 私とあいつ ページ30
「はぁっ...はぁっ...」
どのくらい走ったのか、息が切れてしまって動けない。
てか、あそこで逃げんで告っとけば良かった。
なんであそこで遮ったん。私。
「なんで逃げるんやぁー!」
「え、ちょ、来ないでええええええ」
すると、教室から勢いよく出てきた侑がこっちに走ってくる。
こわいこわいこわいこわい。
というか、教室見えるってことはそこまで走ってへんやん。
「えええ!止まってやぁー!!」
「侑が止まってやぁー!」
現在、校内で鬼ごっこ中。
だってしゃーないやん、180cmが追っかけてきて
止まるなんて考えれなかった。
「っふふ、あははっ」
「ちょー、何笑っとんの!」
なんだか、面白くなってしまい笑い出してしまう。
それに、今ここの学校にいる生徒は私たちぐらいなものだろう。
騒いでも職員室まで届かない。
「っ捕まえたで!」
「わっ」
気付くと体育館に来ていたようだ。
これもまた偶然、どこも部活をやっていない。
侑に手を掴まれ、勢いよく二人で倒れる。
「はあっ...足...速いなあ」
「あはっ...足だけ...昔から速かってん...はあ...」
仰向けになり天井を見ている。
掴まれた手はそのまま繋いでいる。
「なんで逃げたん?」
「んー、悪いことしたなって思て」
「悪いこと?」
「話、遮ってもうたから」
ああ、なんて言って笑い出す侑。
高揚した気持ちは鎮まらず、気分はハイになっている。
「好きな奴教えてくれたら許すわ」
「まあた、そんなこと言うて」
「ならヒントだけ!」
「すっごいデジャブやそれ。」
私が侑の好きな子を聞いたときを思い出した。
「部活は?」
「バレー部」
「兄弟おる?」
「おるよ。双子の子やねんけど、金髪の方が好き」
彼も分かりやすい質問をしてくるなあって思った。
だから、私もわざと分かりやすく答える。
もうこれ、ほぼ答えやん。
「あははっ、金髪のほう好きなん?」
「そー!好きなんよー!」
なんか悩んでたことが馬鹿みたいに思えた。
テンションがハイになっているせいもあるかもしれない。
すると、侑が上半身を起こし赤みを帯びた顔で私を見つめる。
「...なあ」
「ん?」
「自惚れてもええの?」
「...ええよ」
寝転がっている私に侑はキスをした。
まるで、オーロラ姫とフィリップ王子が、呪いを解く時のキスをするかのように。
159人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黎子(プロフ) - 紅麗亜さん» ありがとうございます!感謝で涙が溢れます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
紅麗亜 - いつも、楽しく見ています。更新頑張ってください!応援しております。 (2018年2月25日 17時) (レス) id: 219f3dfeac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黎子 | 作成日時:2018年2月12日 14時