敗北 ページ46
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あんなにも距離があったのに。
間違いなくハリーは出遅れていて、スニッチはドラコの眼前にあったのに。
ファイアボルトの圧倒的なスピードはその差を瞬く間に覆し、気づいた時にはハリーが小さな金色のボールを空に高く掲げていた。
途端に割れんばかりの歓声が周りから沸き上がり、
グリフィンドール生たちは腕をからませ、抱き合い、もつれあって喜びあう。
興奮を顕に涙を流す者やピッチになだれ込んでいく者までいた。
ハリーも他の選手たちも満面の笑みでみんなに担ぎあげられている。
そんな中、Aは涙が止まらなかった。
ロンが「Aもそんなに嬉しいのか！」とバシバシ肩を叩く。
けれどもAの涙の理由は違うのだ。
ドラコが負けたことが、悔しくて、悔しくて。
泣けるほどに悔しくてたまらなかった。
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『お疲れ様』
「…グリフィンドールは宴会の最中だろ。さっさと戻れよ」
ドラコは声の主を振り向いて確認することもせず、突き放すような口調で言う。
『疲れちゃったから風に当たりに来たの。』
嘘だった。
こんな気持ちでグリフィンドール寮の優勝祝いに参加なんて出来るわけがなくて、気づいたら宴を抜け出し、ドラコの姿を探してホグワーツのあちらこちらを走り回っていた。
Aは額に滲んだ汗を隠すようにそっと手で拭う。
ドラコが居たのはホグワーツで最も高い塔である天文台の塔だった。
授業以外では立ち入り禁止の塔に他の人は誰もおらず、
ただ蒼白い月の光だけが静かに微笑んでいる。
ドラコはそんな塔の手すりにうなだれるようにして寄りかかり、虚空をみつめていた。
ドラ「風に当たりにわざわざこんな離れた、しかも立ち入り禁止の場所に来るなんて。お前はいつからそんな不良になったんだ。シエラさんが泣くぞ」
どうやら嘘はバレていたらしい。
Aは心ばかり気恥ずかしさを覚えたが、
すぐにそんなことは気にならなくなった。
ドラコが鼻をすする音が聞こえたからだった。
ドラ「いいから、グリフィンドールのいい子ちゃんは早く帰れ」
乱暴に言うドラコの言葉の端々には涙の色が滲んでいる。
ドラ「帰れよ！」
一際ドラコが声を荒らげた。
けれどもドラコが帰れと言う度に、
Aにはそばに居てくれと言っているように聞こえた。
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美愛(プロフ) - 灯火さやさん» 前作に引き続きお読み頂きありがとうございます🥰ぜひどんな展開になるか、楽しみに待っていてください🙌 (2月9日 9時) (
レス) id: 66f373a354 (このIDを非表示/違反報告)
灯火さや(プロフ) - 初コメです。前作を一層読み、引継で読み漁り、ドラコがデスイーター路線になる設定が好みすぎます。夢主は死喰い人にはならず潜入スパイ的なポジションになるのかな？と思って読みました。 (1月29日 11時) (レス) id: f174f30836 (このIDを非表示/違反報告)
美愛(プロフ) - ちゃんちゃんさん» とても創作の励みになるお言葉ありがとうございます！どんどん更新していくのでぜひぜひ待っててください✨ (1月26日 10時) (レス) id: 66f373a354 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃん(プロフ) - いつもとても楽しませて頂いています！本当におもしろいです！また更新楽しみにしております☺️ (1月26日 2時) (レス) @page26 id: 0e52f3e689 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 美愛さん» ✉️。こんにちは。とても面白いです！もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか？これからも更新応援してます💝🫶 (1月19日 15時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美愛 | 作成日時：2023年7月14日 18時
