五輪 ページ7
『は…?』
「…いいな?」
『ッ……』
相変わらずの空間。そして相変わらず無言。
何があったのか、というと彼の目に映った自分を見た時、【逃げる】という概念=【死】が確定したのだ。
ただそれだけ。でも私自身の心は微塵もこれっぽっちも動かなかった。何故って?私は逃げる気満々だからだ。
ただ……この手に巻かれている黒い布が邪魔で仕方ないだけ。
その時だ。
遠くで人の声がしたのだ。しかもそれは「芥川を発見しだぞ!!」というもの。
『っ!!たすけっぐむッ!?』
「黙れ」
今しかないっ!!と思い発した声は容易に彼の手によって拒まれてしまう。否、手ではなく布だ。
「何故…ここに軍警が…?」
「あぁ…昨晩の」
1人でボソボソと呟いたあと、彼は此方を見てこう云った。
「逃げたければ逃げろ。だがその後何が貴様に襲い掛かるかは考えておけ。」
その言葉に冷や汗が伝う。
彼は急に私の結ばれていた手を解き、口の布だけをおき、歩き始めた。
軍警の照明にあてられた彼は一言
「愚者は塵となれ。僕の邪魔をするな」
と。
その後の光景は、云うまでもないだろう。
殺戮。殺戮。
人の中身と、赤色
生暖かい赤色の絵の具が飛散した。
目の前の光景に絶句も良いところだ。
涙も出なかった。代わりに出たのは蚊の泣くような声だった。
『たすけ…てっ』
そのまま崩れ落ちるかのように眠りに落ちた。
「……寝ているのか?」
そっと彼女の頬についたヒトの1部を舐めてみる。
鉄の味が口内に広がる。
「愛しのA…否定するな。僕を…受け入れてくれ…」
そのまま彼女に接吻する。
吐息は夜の風に消えていった。
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あ - 続き待ってます!! 面白かったです! (2023年4月14日 23時) (レス) @page22 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 何故、芥川君がオラの名前知ってんだ? (2020年5月25日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
日名無 りん(プロフ) - 本当に芥川さんが格好良すぎて格好良すぎて無事昇天しました…!この様な神作品に邂逅する事の出来た私は幸せです!!!!!! (2020年2月23日 19時) (レス) id: 0a69449343 (このIDを非表示/違反報告)
林檎ばたけ(プロフ) - 納豆御飯さん» わわっ!嬉しいです……!!期待に応えられるよう頑張りますので!!泣 (2020年1月1日 20時) (レス) id: 29e406539b (このIDを非表示/違反報告)
納豆御飯(プロフ) - 貴女の書くヤンデレが大好きです! 更新、無理せず頑張ってください! 応援しています! (2019年12月28日 20時) (レス) id: d545145139 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林檎ばたけ | 作成日時:2019年3月16日 15時