黒薔薇の花束を貴方に【文スト】【芥川龍之介】【ヤンデレ】

八輪※遅くなりすみません！ ページ11

『ふわぁ…ねっむ』
芥川さんこと、芥川龍之介さんがこのどこともわからぬ部屋に私を置いていき、早くも20分と1時間経過した。
首の噛み跡がじくじくと痛む中だが、妙に恐怖心はなかった。不思議なことに。

『んー…逃げ道…か。』

この家の構造を妄想だけでどうにかしようなんて鬼

畜にも程があるけれど、頭の悪い私にはこれが精一

杯考えた末にできることなのだ。

しかし、まぁこの噛み跡の手当の方を優先してやってもらいたかったのだが、あいにくそういう訳にもいかない。

芥川さんが消えてから逃げること以外考えていない。
鬼ごっこになろうとも、逃げ切る。
明日の夜、決行だ。
決心したはいいけれど、問題はどこに何があり、芥川さんは、今どこにいるのか、それだけが疑問だ。
そして、そう簡単に出口とやらは見つかるのかーーー


ーーーーー同じ頃とある家の一室

「……｣

【んー…逃げ道…か。】

Aの声が僕の鼓膜をふるわせる。

逃げ道？だと？


笑わせる。

そんなものないに決まっているだろう？

あの家の出口はどう足掻いても開けることなど出来ぬ。

僕の手でしか…

約束は、たかが口約束。分かっている。

紙に書きでもしないと、女は…Aは、分かってくれぬのか？


こんなにも…こんなにもアイシテいるのに。


拳を握り締める。ふと見えた月が赤く揺らめいていた。


「A…貴様を…逃がしはせぬ…｣


狂気に満ちた瞳には、Aしか映らない。

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