▽▽ ページ3
無名の事務所から新人Vtuberとしてデビューすることが決まった二日後、早くもAの家にたくさんの機材が搬入される。
機材の貸し出しが無料でサポートが万全ということが最大のメリットに感じていたため改めて社長さんへの感謝で胸がいっぱいになった。
小さいながらも小綺麗にしている家の中に次々と運び込まれる機材に胸が躍る。
昔から消極的だったAにとって自ら何かを決めて行動するということは初めてと言ってもいいくらいだった。
これから自分がどうなるのだろうかという不安な気持ちこそは変わらないものの、不安な気持ちと同じくらいには期待が膨らんでいくのを感じる。
「Aさん、気分はどうかな？緊張してる？」
機材を運び終わり作業員が帰った頃、社長さんが家を訪れてきた。
どうやら様子を見にきてくれたようでそういう心のサポートまで万全なのは本当にありがたい。
『緊張は、ちょっと。でも、楽しみです。あの、よければここに座ってください』
自分が座っている椅子の隣を手で示し目を細めてはにかむAに社長は優しく微笑んだ。
この子の笑い方は周りを癒す効果がありそうだな、なんて思いながらそっと椅子に腰を下ろす。
「何か少し悩んでいる顔をしているね。よければ僕に話してくれないかな？」
『えへへ、バレちゃいましたね。その、うまくいえないんですけど、』
今まで悩んでいた自分のことについてゆっくりと社長さんに包み隠さず話し始める。
Aにとって、自分はとても面白くなくて人に楽しんでもらえるような人間ではない。
そんな自分がVtuberとしてデビューしてファンがついてくれるかもわからないし、もしかしたら自分を起用したことを社長さんに後悔させる日がくるかもしれないと思うと怖くて仕方がないのだ。
「うん、そっか。話してくれて本当にありがとう。……さあAさん、来月の初め頃には晴れてデビューだね。うちは本当にまっっったくの無名事務所だけど精一杯宣伝するよ」
少ししんみりしてしまった空気をかき消すようによーし頑張るぞ！と拳を突き上げる社長がおかしくてAはつい笑ってしまう。
「ほらほらAさんも一緒に、えいえいおー！」
『ふふ、はい。えいえいおー』
しばらく二人で腕を上げていたが、顔を合わせた瞬間どちらともなく笑いを吹き出した。
なんだかこのなんでもない瞬間がすごく楽しくて二人はずっと笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1014人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
cPIE(プロフ) - ZerAさん» コメントありがとうございます！更新が遅くて申し訳ないです💦亀更新ではありますが少しずつ仕上げておりますので一緒に楽しんでいただけたら幸いです (2022年11月10日 15時) (
レス) id: 52c3f36ca2 (このIDを非表示/違反報告)
ZerA - めちゃくちゃ面白いです、！！夢主の謎は深まるばかりで考察が止まりません！更新楽しみにしてます🤭 (2022年11月9日 20時) (レス) @page15 id: e2320a25d7 (このIDを非表示/違反報告)
cPIE(プロフ) - Χさん» 応援ありがとうございます！頑張りますので今後も是非お付き合いください！ (2022年9月3日 0時) (レス) id: 52c3f36ca2 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - きっ、気になります更新頑張ってください！応援してます！ (2022年9月2日 10時) (レス) @page10 id: fd72f115dc (このIDを非表示/違反報告)
PIEc(プロフ) - うゆさん» お返事が遅れて大変すみません💦これから一緒に主人公の謎をとけれていれば 嬉しいですこれからもよろしくお願いします！ (2022年8月23日 10時) (レス) id: 8aa8dda526 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：cPIE | 作成日時：2022年8月13日 15時
