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たくさん笑って朗らかな空気にまま社長さんはゆっくりと口を開いた。
「Aさん、あなたはあなたが思う以上に十分素敵だよ。何も気負わず自分なりに楽しいことをやっていれば自然とファンがつく。まずは僕がファン一号だ」
社長さんが柔らかく笑いながら言った言葉はなんだか宝石のようにキラキラしていて、Aには少し眩しかった。
この人のために、頑張ろう。
『社長さん、鈴中Aは精一杯頑張ります。あなたがファン一号として誇れるようなVtuberになれるように』
「うん、いい顔になったね。これから君がどんな人物に成長するか本当に楽しみにしているよ」
面接を行った時のように二人は固い握手を交わす。
社長はこれ以上Aにプレッシャーを与えないようにあえて言わなかったが、Aが今後どのような成長をするかによって会社の命運が左右される。
真新しい会社を作るのに資金はもうほぼ底をついてしまっていて新規のVtuberを二人も雇う余裕は無くなってしまっていた。
応募者自体もそんなに多くなく、そのほぼ全員が配信経験なしの初心者ばかりであった。
Aも例外ではなく配信経験は一度もないド素人。
会社の命運を左右するほどの人物を選ぶのにどう転ぶかわからない未経験者を選ぶのは本当にリスキーであった。
配信経験者や既に名前が売れているような人物も少しであるが、応募者の中にはいた。
そのようなリスクの少ない方を選ぶこともできたが、それでも社長はAという人間に魅力を感じて周りの反対も押し切って選んだ。
すなわちこれは自分の審美眼を試すこと機会ということでもあるのだ。
「よし、決意も固まったところでAさんに頼があるんだけど」
『頼み、ですか?』
少し前屈みになって興味深そうにこちらをのぞいてくるAに、社長は苦虫を噛んだような顔でおもむろに口を開いた。
「本当にこちらの手違いで申し訳ないんだけど、」
『………え?』
社長の”頼み”を聞いたAは目を見開く。
「無理そうならいいんだ。なんとか違うものを用意してみせるよ」
なんだか余裕のなさそうな表情をしている社長を放って置けなくてAはゆっくりと頷いた。
『社長さん、大丈夫です、頑張って、みます』
ゆっくりながらも力強く言い切ったAにこの子を選んで本当によかったと社長は少し泣きそうになった。
『僕、配信では、頑張って女の子に、なりきります』
この日、”彼女”が誕生した。
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cPIE(プロフ) - ZerAさん» コメントありがとうございます!更新が遅くて申し訳ないです💦亀更新ではありますが少しずつ仕上げておりますので一緒に楽しんでいただけたら幸いです (2022年11月10日 15時) (レス) id: 52c3f36ca2 (このIDを非表示/違反報告)
ZerA - めちゃくちゃ面白いです、!!夢主の謎は深まるばかりで考察が止まりません!更新楽しみにしてます🤭 (2022年11月9日 20時) (レス) @page15 id: e2320a25d7 (このIDを非表示/違反報告)
cPIE(プロフ) - Χさん» 応援ありがとうございます!頑張りますので今後も是非お付き合いください! (2022年9月3日 0時) (レス) id: 52c3f36ca2 (このIDを非表示/違反報告)
Χ(プロフ) - きっ、気になります更新頑張ってください!応援してます! (2022年9月2日 10時) (レス) @page10 id: fd72f115dc (このIDを非表示/違反報告)
PIEc(プロフ) - うゆさん» お返事が遅れて大変すみません💦これから一緒に主人公の謎をとけれていれば 嬉しいですこれからもよろしくお願いします! (2022年8月23日 10時) (レス) id: 8aa8dda526 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cPIE | 作成日時:2022年8月13日 15時