愚痴聞き屋の恋 3 - ki -【最終章】

沈む気持ち ページ24

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　洗面所の鏡を覗くと、目の下に隈を作っ
た冴えない自分がこっちを見ていた。





「ひどい顔……」



　麻美さんと宏くんが一緒に寝てるところ
を想像して、昨日は全然眠れなかった。

　それに、宏くんから何度も電話があった
のに全部無視しちゃった……

　宏くんに会えるのを心待ちにしていたの
に気持ちが沈んで上ってこない。




はぁ……



　ため息をつくたびに幸せが逃げるってい
うけれど、私は今日だけで何回逃げられて
るんだろう？

　今日は、カフェのバイトが３時まで入っ
ていた。私は気怠い体を動かして支度を済
ませると家を出た。



今日どうしよう



　会いたいけれど会いたくない……複雑な
気持ちが頭をぐるぐると駆け巡る。









＊








「一ノ瀬さん、５番テーブルにお水お願い」

「え？」

「さっき言われたよね？ほら、ぼうっとし
　ないで」



　バイト仲間に注意されてしまった。彼の
ことで頭がいっぱいで仕事も手につかない
なんて……自分が情けなくなる。


　心ここにあらずのうちに、あっという間
に３時になった。

　それに、私には気になっていることがも
う一つあった。――それは泉さんのこと。


　昨日はたくさん話をして、「またねっ」
て別れた。今日は何をしてるんだろう？心
配でしかたがない。

　バイトが終わった後、さっそく泉さんに
ラインを送ろうとしてスマホを見ると、宏
くんからラインが来ていた。



＞これからこっちでるよ

＞東京についたよ、家に１度戻るね。今日
　は疲れたから家に帰って少し寝てから、
　Aの家に行くよ。今日泊まってもい
　い？



私は、スマホを見つめた


＞ごめんなさい、今日は用事が出来て会え
　ません


　やっぱり今日は会いたくない、もう少し
気持ちが落ち着いてからじゃないと何を言
い出すか分からない自分が怖かった。









それから私は泉さんにラインをした。





＞泉さん、朝から何か食べましたか？


すぐに既読になり、返信がくる。




＞気持ちが悪くてほとんど食べてないかも

＞私、これから何か作って持っていきます。
　塩むすびとかなら食べられますか？それ
　ともそうめんとかはいかがですか？




　泉さん、ご飯の炊ける匂いとか麺を茹で
る匂いがダメだめだって言っていたよね。
冷たいものなら大丈夫かもしれない。



＞ありがとう、じゃあお願いしようかな



　良かった……、泉さん食べてくれるとい
いんだけど。






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