24.波紋 ページ26
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「え……?」
「先生にとって私はなに?」
「……」
「私ね……先生の心の中に宙さんがいても、いつか私だけを見てくれる日が来るって信じてた……でもきっと、その日は永遠に来ないんだよ」
「……」
気怠そうに身体を起こした先生は、生気のない顔で私を見つめた。
「先生なんかっ、いつまでも死んじゃった人のことを想って自分の殻に閉じこもっていればいい」
「……」
「私だってっ、先生のこと知りたいと思っていたけど……私が立ち入っちゃいけない領域だって……そう思ったから……だからっ、気になって仕方がなかったけどこれでも耐えてきたんだよ?」
「……」
「先生、何か言ってよ……」
「……ああ、分かってる」
「分かってる?嘘!」
「これでも……Aの気持ちは痛いほど分かってるつもりだ……本当だよ」
イライラした。
先生のことがどうしようもなく好きだったから。
分かってるならどうしてもっと心を開いてくれないの?
彼女が死んだのは自分のせいだと思っているのはなぜ?
2人の過去に何があったか知りたくてたまらなかったけれど、それは訊いては行けないことだって思っていたから今まで何も言わなかったのに。
それなのに宙さんの名前を呼ぶなんて……
「私はこんなに先生が好きなのに……先生は私を好きじゃないなんて酷いっ、」
言っていることがめちゃくちゃだって自分でも分かってる。
けれどもまるで嫌な女になったみたいに、先生を責める言葉しか出てこなかった。
今までずっと心の中で燻っていた炎。
それが一気に燃え上がるような感覚。
身体中の毛穴から、熱い何かが噴き出してくる気がした。
「先生お願い……私だけを見て!」
感情のまま先生の腰に腕を回して抱きつけば、温かい手が私の頬に触れた。
「いつも見てるって」
上から降る掠れた声に、鼻の奥がつんとする。
「私ってめんどくさい子だよね?……先生だってそう思ってるんでしょ?」
「そんなことないよ」
「――本当にもう何もかも苦しいっ、こんな風に先生を責めることしかできない自分が大嫌いっ」
「A……」
名前を呼ばれ、顔を上げて彼を見る。
私を見つめるその顔には、哀しみ、切なさ、困惑……それらの表情が波紋のように拡がって、思わずはっと息を呑んだ。
「前向きになれるって……思ったんだよ」
「え?」
「抜け出せると思ったんだ……」
「……」
「光の向こうに行けるかなって」
「……」
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siori(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん、こんにちは!お待たせしてしまってごめんなさい。心がヒリヒリしながらも楽しんでいただけているのであれば、これほど嬉しいことはありません(T^T)今日、移行しますね!いつもコメントありがとうございます! (2022年9月9日 17時) (レス) id: 61df7685fa (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - こんばんは!更新うれしいです。sioriさんの作品が大好きです。主人公ちゃんの北山先生への想いに涙でした。宙さん今は絵が描けていてよかったです。先生と主人公ちゃんも笑顔になってほしいなと思います。心が痛くなりながらもドキドキしながらいつも楽しみにしてます (2022年8月24日 22時) (レス) @page50 id: d56bd6cb16 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ましろさん» ましろさん、え!?もうひと山ですか(笑)私の話なんて全然大したことなくて(笑)北山くんが凄いからですよー!彼の凄さは私も痛感してます!でも、私はましろさんが帰ってきてくれたことがなによりも嬉しいですっ(涙) (2022年8月18日 20時) (レス) @page16 id: 61df7685fa (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ★mmiioo★さん» ★mmiioo★さん、ありがとうございますっ、大きいんですけどね。相手が強すぎてどうなるかというところです(涙) (2022年8月18日 19時) (レス) @page16 id: 61df7685fa (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 次の章で終わるなんて言わずにあともうひとやま....笑。久々の現場行きまくりで改めて彼の凄さとかっこよさを痛感し栞さんのお話の凄さも久々に訪れて痛感し新しいお話が読めることが本当に嬉しいです。どのお話も心臓痛くて大大大好きです。愛重く愛しております。 (2022年8月17日 9時) (レス) id: 6b1f0a89b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2021年11月6日 21時