Palauan Blue

8.マーメイド2 ページ8

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我に返ったのは、木村さんに肩を叩かれたからだ。
あっちに行こうと手で合図を送ってくる。


それから木村さんに続いて横穴から出て、また魚を見ながらエキジットした。









「北山くん大丈夫？昨日着いたばかりなのにちょっとハードだったかな？日本でも仕事忙しかったんだってね」
「……」
「帰りに、木村さんが見つけてくれた浅瀬で撮影したいんだけど大丈夫？大きな流木が流れ着いたらしくて、絶好のロケーションなんだって」




エキジット後、編集者の清水さんがボートの上で心配そうに訊いてくる。
様子がおかしい俺のことが心配になったんだろう。




「いえ大丈夫です。最高でした！もう言葉では言い表せないほど綺麗だったです。あの……木村さん……」
「ん？」
「あの……俺……人魚を見たんです」




俺の言葉に、木村さんはマリウルと顔を見合せた。
頭がおかしくなったと思われたんだろうか？

否、人魚のはずはないな……
今思えば、髪の長い女の子だと思う。




「ってか、女の子です。ここでタンク背負わないって……いったい、」
「彼女は本当に人魚だよ」
「え！？」
「ははっ、冗談だよ！北山くん、なんて顔してるんですか！」
「ココ、眉間にシワがヨッテルヨー」
「んなこと言われても……」




２人は彼女を知っているんだろうか？



“人魚みたいな子なら１人知ってますよ”



不意に木村さんの言葉を思い出した、確か会えば分かるって言っていたっけ。
それにしても……
水深は３０ｍ近くあるんだぜ？
海底の方に消えたよな……？
それにブルーホールでダイビングの装備してないって……どうゆうことよ。




「でもね、彼女は特別です」
「特別……？」
「はい」




けれどもそう言った後、木村さんから笑顔が消え、どこか翳りのある表情に変わった。








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