14.撮影が終わり……そして ページ14
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パラオでの最後の撮影を終えた夜。
清水さん、石井さん、そしてお世話になったダイビングショップのスタッフたちとホテルのビーチでバーベキューをすることに。
事故も怪我もなく、順調に撮影が終わったことを喜びあった。
あれから木村さんとはプライベートな話なんかも沢山した。
パラオの海に惹かれ移住までした彼はかなりの苦労人だった。
人生の先輩である彼の言葉は海よりも深く、俺にとって得るものが多い出会いとなった。
「北山くんとは昔からの知り合いみたいな感覚だったよ。北山くんには教えられることが多かったなぁ」
ビール片手に木村さんはそんな風に言ってくれて、日焼けした顔を綻ばせた。
「こちらこそですわ、そんなこと木村さんに言われたら困りますって」
「いや、本当だよ。芸能界って世界は僕には全く分からないけど、厳しい世界ってことだけは分かる。
辛いことをパワーに変えて、何でも楽しもうってなかなか思えることじゃないし、そう思えるようになるまでには葛藤もあっただろうし、色んな経験を積んできたんだろうなって」
確かにそれはあるかもしれない。
人一倍悔しい思いだってしてきたけれど、今はそれも俺の糧になっている。
「北山くんに1つお願いがあるんだ」
木村さんは急に真面目な顔になった。
お願い?木村さんが俺に?
「お願いですか?」
「うん……Aのことなんだけど……」
「えっ?あ、はい」
突然その名前が出てドキッとする。
あのことを木村さんに言わなくてもいいのか?って、彼女とした約束について、あれからずっと考えていたから。
「北山くんみたいな人と一緒に過ごせば、頑なに心を閉ざしているあの子の気持ち、ちょっとでも溶かせないかなぁと思ってさ。
僕じゃダメなんだよね、もう身内みたいな存在だからか、僕の話なんて聞こうともしないっていうか……
きっと説教臭いんだろうね。
ほら、北山くんてスーッと人の懐に入るの上手でしょ?だから迷惑じゃなかったら少し彼女と話してくれないかなぁと思って」
まさか木村さんからそんな話が出るとは思ってもみなかったから正直驚く。
「実は……俺もAちゃんのことが気になって。この前、偶然会った時にパラオのガイドをお願いしてみたんです」
「え、そうなんですか?」
「はい。オーケーしてもらえました」
「Aが……?」
「はい」
意外だったのか、彼は目を丸くした。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、ありがとうございます!そうなんですよね、特に今回のはどうしても書きたくなってしまって。もうダークな妄想が止まらないです(笑) (2021年6月3日 8時) (レス) id: 534cf1e415 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こんにちは(^-^)ふと浮かんだり、作品を見たり聞いたり読んだりして話が浮かんでスラスラ書けてしまうこととかありますよね!再開楽しみにしています☆ (2021年6月1日 18時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - はるはるさん» はるはるさん、こんにちは!ほんとですね、コロナで海外旅行どころじゃなくなってしまいましたね。パラオで北山くんと過ごしたいなぁという願望だけしかない話で何も中身がなくて申し訳ないですが、きれいな海をココロに描いて下さったのなら嬉しいです! (2021年5月18日 19時) (レス) id: 534cf1e415 (このIDを非表示/違反報告)
はるはる(プロフ) - sioriさん、更新ありがとうございます。美しい海の情景が、詳しく表現されていて、私もその場にいるようです。未だ海外旅行は、行った事ないんですが、陽射しも暑く感じるほどです。この世界観、本当に有難いです。 (2021年5月16日 15時) (レス) id: 4f8e80d38c (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ななこさん» ななこさーん、こちらも読んでくださりありがとうございます!そうですよね、ほんと切ない話ばかりだと自分でも思っています。大好きと言って下さり嬉しいです!まずは北山くんとパラオの海を楽しんでくださいね! (2021年5月9日 20時) (レス) id: faedcbc792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:siori | 作成日時:2021年5月2日 19時