罪で結ぶ絆 5【最終章】

初雪の夜に ページ41

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凍てつくように寒い十二月中旬、私は横
尾さんの家で一緒に夕飯を食べていた。

産後、あまり調子が良くない凪さんの為
に夕飯を作り、そのまま一緒に食べる事
が多くなっていた私に、凪さんは「ごめ
んね……Aちゃん」なんて申し訳なさ
そうにしていたけれど、一人ぼっちの私
にとって、暖かくて仲睦まじい横尾さん
夫婦はとても大切な存在であり、今では
心の支えとなっていた。

だから迷惑だなんて思った事もないし、
むしろ一緒に食卓を囲めてとても嬉しか
ったんだ。






「お？……、雪だ」



横尾さんに言われて窓を見れば、冬枯れ
の庭に雪が舞い降り始めた。ひらひらと
羽毛のように降る雪は、オレンジの外灯
に照らされ幻想的だ。


東京に雪が降ったのは二年ぶりだった。





「初雪ですね」

「今年は早いなぁー、長野に住んでいた
Aちゃんには珍しくないか」



横尾さんは窓から視線を移して私を見る
と、お茶を一口ずずっと啜った。




安曇野は豪雪地帯ではなく、冬になると
雪は降るがなかなか積もらない。それで
もドカ雪が年に一、二回は降るのでその
時はさすがに三十センチ程積もる事もあ
るが、そうそう長くは残らず直ぐに解け
てしまう。

雪を被った、厳冬の美しい北アルプスが
脳裏に浮かんだ。




「はい。でも、東京で十二月に降るのは
あまりないですから」

「そうだねぇ、でもすぐ止みそうだな。
今年の冬は寒くなるんだってさ」




白熱色の間接照明が柔らかく室内を照ら
していた。リビングには薪ストーブがあ
り、その前ではアジとヒラメが気持ち良
さそうに眠っている。

雪が降っているからか、室内はいつもよ
りもしんと静まり返っていた。






「南に母乳あげてたのに、気づいたら一
緒に寝ちゃってたよ」


眠そうに目を擦りながら、凪さんがリビ
ングにやって来た。

娘ちゃんの名前は「南」海が好きな夫婦
らしく南風からきているらしい。

横尾さんがチャイを作ってくれて、温か
く甘いスパイシーなそれを啜りながら何
気なくスマホを見ていると、ニュース速
報が目に飛び込んできた。






「えっ……」



思わず声が出る。



「ん？どうしたの？」



私の視線は画面を凝視したまま……
そのニュースに釘付けになった。





“児童売春の深い闇”

“児童福祉法違反及び売春防止法違反で
六本木、準暴力団幹部逮捕。佐久間議員
関与の疑いで検挙”




六本木の半グレ集団が逮捕された！

佐久間議員……？






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