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心に誓う ページ17








ひろ……



黒川さんにも牙を剥いて……
きっと複雑な気持ちだろう。


あの極限の状態から逃げ出して来たんだ
もの。

いくらひろが精神的に強い人間でも、相
当ダメージを受けているに違いなかった。



黒川さんの怪我は?他の二人は?
私が正当防衛だったと証言したら、ひろ
は罪に問われないのだろうか?

ひろを犯罪者にしてしまったかもしれな
い……と、思った。

胸がざわついて仕方がない。



けれど訊けなくて
何があったかどうしても訊けなくて……



どんな事があっても、もう絶対にひろか
ら離れないって、そう心に誓った。








「玉は?」

「今タクシーの中。呼吸が浅くて苦しそ
うなの……」

「……呼吸が?」



慌ててタクシーに駆け寄るひろに、戸部
先生の病院に連れて行くことを話した。
私が助手席に座り、ひろが裕太の隣に座
ると、裕太はひろを見るなり泣きそうな
顔になった。



「玉……大丈夫か?」

「ミツ……絶対に無事だって信じてたよ
ゴホッ、ゴホッ」

「……いいから。もう喋るな」



「ごめん……俺、ヘマしちゃって」

「ヘマしないからって言ってたのにな。
玉ちゃんは大胆すぎんの」


二人の声が聞こえてくる。


「だよね……ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」

「ほら、玉ちゃん楽にして」



裕太の咳が酷くなった気がする。思わず
振り返れば、ひろの肩に頬をつけ、もた
れかかる掛かるようにしている裕太の頭
を、ひろの手が優しく撫でていた。

浅い呼吸を繰り返しながらも安心しきっ
た表情をしている裕太は、ひろといる時
が一番安心できるのかもしれないね……









戸部美容外科の本院は、品川駅から程近
いタワービルの二十五階にある。ビルの
前から電話をかけてそのフロアで降りる
と、エレベーターの前で戸部先生が待っ
ていた。




「戸部先生っ、無理を言ってごめんなさ
い……」

「待ってたよ」




私を見るなり笑顔になる。

笑うと目尻に深い皺が刻まれ、それが彼
の印象をより柔らかく見せていた。

白い大理石が敷き詰められた待合室には
いかにも座り心地の良さそうなソファが
置いてあり、高級感がありながらもリラ
ックスできるサロンのような空間が広が
っている。



「じゃあ、まず診察をしてからレントゲ
ンを撮ろうか」

「はい」


裕太が先生と行ってしまうと、明るい待
合室にひろと二人だけになった。







仄暗い瞳→←記憶のカケラ



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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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siori(プロフ) - はーちゃんさん» はーちゃんさぁん、お久しぶりです!途中で更新停止してしまいましたが、どうにかラストをむかえることが出来ました。はーちゃんさんのように待っていて下さった読者さまには本当に頭が上がりません(涙)温かいお言葉とっても嬉しかったです!ありがとうございました! (2020年6月20日 14時) (レス) id: b69aae1f51 (このIDを非表示/違反報告)
はーちゃん(プロフ) - 次回作も楽しみに待ってます! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 68687cd35c (このIDを非表示/違反報告)
はーちゃん(プロフ) - sioriさん、お久しぶりです!最終回までやっとみれました。最後までお疲れ様でした!簡単に言うと、ハッピーENDで良かった。ゆっくり休んでくださいね。 (2020年6月18日 20時) (レス) id: 68687cd35c (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん、お久しぶりです!本当に半年以上書いてなかったなんて時の過ぎるのはなんと早いのでしょうね。こんなに書かなかったは始めてなので感覚がちょっと変です(笑)また最近ダイバー読んだりして夏らしい話が書きたいななんて。コメントありがとうございました! (2020年5月27日 11時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - とーかさん» とーかさん、ありがとう!とーかさんが読んでくれてると思うとド緊張でしたよ!いつもながら(笑)そうなんです、お話の構成考えるのって楽しいけれど、その選択の連続ですよね。私もいつかとーかさんのように伏線を張り巡らせるような話が書けるようになりたいですっ! (2020年5月27日 11時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2019年5月18日 23時

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