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光 ki ページ11









「お願いっ、ひろまで、そんな事言わな
いで……」


縋るような眸を俺に向けるAをじっ
と見つめ返した。



「A、頼むよ」

「いや……一緒にいたいの……」

「これからは……ずっと居られるよ、一
緒に暮らすんだろ?」



Aに笑いかけると、一瞬驚いた表情
をした後、彼女は泣きながら微笑んだ。





その表情が切なくて、胸がぎゅっと締め
付けられる。泣かせてばかりいる自分に
腹が立ったけれど、今はとにかく時間が
無い……



ヤクザとは違い、はっきりと組織化され
た集団ではないので表面化こそしないが
ヤクザと対峙することも躊躇わず、凶悪
な事件を繰り返してきた半グレは、六本
木でも厄介な存在だった。

いざトラブルになると、その本性を剥き
出しにする。人情も義理も持ち合わせて
いなく利害関係のみで動く。

執念深く、単なる脅迫や暴行では収まら
ず、相手が虫の息になるまで痛めつけて
しまうところに彼らの怖さがある……


もし捕まったら、きっと半殺しじゃ済ま
ない。







振り返ると、後少しで部屋に入る後ろ姿
が見えた。




「早くっ!玉、Aと逃げろ」


真っ直ぐに見つめ返してくる強い視線。
俺には、玉の気持ちが手に取るように分
かるんだ。

玉、俺達は何も話さないでも通じ合える
よな?

Aを頼むよ……




「Aさん……ミツの……言う通りに
しよう」

「……いや」

「Aさん!」



苦しいだろうに……玉はAの身体を
掴むと引きずるようにして走り出した。







その時、一人の男が黒川さんの部屋から
走り出て来た。



振り返ると、二人の姿が階段のドアに向
かうのが見えた。ドアの手前で一瞬振り
返るA。繋がる視線が哀しかった。


「ひろぉっ!」


泣き叫ぶAに頷くと、気丈に唇をキ
ッと結び――

彼女はもう、後ろを振り向かなかった。






どうか遠くに

行けるところまで遠くに

逃げ切れ――






「おいっ!ふざけんなごらぁ!」


すごい形相で追いかけてきたそいつの顔
面に向けて、廊下に設置されていた消火
器を取り噴射した。



顔を手で覆い叫び声を上げる男。
狭い廊下は、瞬時に白煙に包まれた。



消火器の噴射時間は十五秒ほどだったは
ず……

噴射しながら後退り、空になった消火器
をそいつに向かって投げつけた。


必死だった。

階段を転げ落ちるようにして降り、階段
下の消火器をまた手に取る。


厨房まで辿りつければナイフがある……!







殺意 ki→←危機 ki



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設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
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siori(プロフ) - はーちゃんさん» はーちゃんさぁん、お久しぶりです!途中で更新停止してしまいましたが、どうにかラストをむかえることが出来ました。はーちゃんさんのように待っていて下さった読者さまには本当に頭が上がりません(涙)温かいお言葉とっても嬉しかったです!ありがとうございました! (2020年6月20日 14時) (レス) id: b69aae1f51 (このIDを非表示/違反報告)
はーちゃん(プロフ) - 次回作も楽しみに待ってます! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 68687cd35c (このIDを非表示/違反報告)
はーちゃん(プロフ) - sioriさん、お久しぶりです!最終回までやっとみれました。最後までお疲れ様でした!簡単に言うと、ハッピーENDで良かった。ゆっくり休んでくださいね。 (2020年6月18日 20時) (レス) id: 68687cd35c (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん、お久しぶりです!本当に半年以上書いてなかったなんて時の過ぎるのはなんと早いのでしょうね。こんなに書かなかったは始めてなので感覚がちょっと変です(笑)また最近ダイバー読んだりして夏らしい話が書きたいななんて。コメントありがとうございました! (2020年5月27日 11時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - とーかさん» とーかさん、ありがとう!とーかさんが読んでくれてると思うとド緊張でしたよ!いつもながら(笑)そうなんです、お話の構成考えるのって楽しいけれど、その選択の連続ですよね。私もいつかとーかさんのように伏線を張り巡らせるような話が書けるようになりたいですっ! (2020年5月27日 11時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:siori | 作成日時:2019年5月18日 23時

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