罪で結ぶ絆 4

My Favorite ページ28

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「これ、どこにあったの？」

「ルキアの事務所のデスクの中。勝手に
持ってきたんだよ」

「そうだったんだ……」



裕太の言う通り。
この携帯の中を見れば何かが分かるかも
しれない。否、多分分かるだろう。

携帯は既に解約していたが、中身を見る
事は出来るはず。私は懐かしいヒヨリの
スマホを見つめた。



「裕太」

「うん？」

「お願い、一緒にいてくれる？」



気づけば裕太の腕を強く掴んでいた。怖
かったんだ、私の知らないヒヨリの全て
を受け入れる事ができるのか。



「でもAさん……俺も知ることにな
っちゃうけど……いいの？」

「うん……裕太ならいい。今、WiFiに繋
ぐね」

「……分かったよ、でもパスワードかか
ってるでしょ？」

「パスワードか……」



今どきの女子高生だったヒヨリ。彼女が
当時好きだったタレントの名前を入力し
てみたけれど開くことが出来ない。ひろ
の生年月日でも開かなかった。

もしかしたら、家族の生年月日が入って
いるとか？

ヒヨリはお父さん子だったっけ。試しに
父の生年月日を入力すると、パスワード
は解錠された。



「あ……、裕太っ、できた！」

「え？マジで！？すげー！お父さんの生
年月日か……これじゃ分からないはずだ
よね」

「そうね……」




でも、父の生年月日にするあたりがヒヨ
リらしいとも思う。

中身を見るのが怖かった。けれど見てみ
ないと何も始まらないんだ。

躊躇いつつそっとアイコンをタップすれ
ば、友達と撮った写真の中から私に笑い
かけてくるヒヨリがいた。

あの日から止まったままの姿に、つーん
と鼻の奥が痛くなる。スクロールしなが
ら次々に写真を見ていったが、特に気に
なる物はない。




ん？『Mｙ Favorite』何だろう……？

そのタイトルのアルバムをタップした時
だった。

えっ……？

その中の写真に一瞬固まる。




「どうしたの？」


裕太がスマホを覗き込んできた。




そこには、沢山の黒川さんの寝顔があっ
た。明らかにベッドでのプライベート写
真。

中にはハートの加工がしてある物もあり
行為の後にヒヨリが隠し撮りをしたんだ
と思った。

ひろだとばかり思っていたヒヨリの相手
は……黒川さん……

鼓動が早くなり、あまりの衝撃にぐらり
と身体が揺れた。






「Aさんっ、大丈夫？」


余程驚いたんだろう、私を支えてくれた
裕太の声も震えている。



「裕太……この写真……」

「……」

「ごめん……大丈夫……？」







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