罪で結ぶ絆 4

震える心 ページ27

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「あの子の代わりにお前が死んだら良か
ったって。お前は本当はあの男の子供な
んだろう？って……」

「え……」




「でもね」


裕太は、擦りすぎて縁が赤く腫れた眸で
私をじっと見つめた。


「そんな絶望的な毎日の中で、隣に住む
可愛い姉妹が心の拠り所だったんだって

二人が……ミツの生きる意味だったんだ
よ。明日になったらまたあの優しい姉妹
に会える、今日一日を頑張ろうって……
歯を食いしばって耐えられたのもA
さんとヒヨリがいたからなんだよ」



知らなかった。私とヒヨリをそんな風に
思っていたなんて……

そして裕太は更に続けた。



「Aさん、分かる？だからミツがヒ
ヨリを捨てるなんて絶対にないし、ミツ
はそんな男じゃない」

「ひろじゃ……ない……？」

「それどころか、ひょんな事であの姉妹
だって知ってからヒヨリをずっと守って
きたんだ。ヒヨリが何をしていたか……
もしかして知らない？」



それから裕太は言いにくそうに私を見た。
何をしていたんだろう？訊きたいけれど
訊くのが怖い。胃がシクシクと痛み出し
た。



「知らない……でも、知らなくちゃいけ
ないと思うよ。何をしていたの？」



声が震え、鼓動が音となり聞こえてくる
ようだった。



「ウリだよ、女子高生のウリの組織。俺
も後になって知ったんだ……ミツが辞め
るように説得してもダメだった」



ウリ……！？



「何で……そんなことをっ」

「詳しいことは、ミツに直接訊いて……」

「……」





「Aさん、ちゃんとミツと話して。
ミツが長い間、十五年以上もの間、たっ
た一人で抱え込んで苦しんできた罪……
何だか分からないでしょ？」

「罪……？」



涙を湛えた裕太の顔が一瞬歪んだ。



「ミツの背中のスカリフィケーション。
あれは、贖罪の気持ちだよ。一生十字架
を背負って生きていくって……

そんな哀しい事……っ、最も痛みを伴う
方法で、一生消えない十字架を背負った
んだ……お願いAさん、ミツともう
一度向き合ってほしい」


裕太は鞄からスマホを出して私に渡した。


「これっ……」

「うん、ヒヨリのスマホ。いつも持ち歩
いてたんだ……Aさんに返すね」



それは、いくら探しても見つからなくて
二度と手にすることはないと思っていた
妹のスマホだった。

ヒヨリちゃん……
あまりの事に心が震える。




「中を見られれば……色々分かるかも」




涙を拭い、裕太はスマホをじっと見つめ
た。






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