罪で結ぶ絆 4

あの日へ…… ページ14

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焦げ臭い臭いが漂い、思わず口元を手で
覆った。

既に交差点付近には交通規制が敷かれ、
その道路には緊急車両しか入れなくなっ
ていた。






何台もの消防車や梯子車が止まり、拡声
器で避難を促したり、何かを叫んだり、
命令したりしている消防士の姿に緊張が
走る。

マスコミだろうか？上空には、バッバッ
バッとプロペラ音をたて、ヘリコプター
が飛んでいた。





道行く人は立ち止まり、スマホで写真を
撮っている人も……


「爆発音凄かったな」

「やばかったわぁ」


野次馬達の興奮した声が聞こえてくる。
通りは、まるでモヤがかかったように煙
り視界が悪かった。




爆発音……

詩乃ママ、みんな……



「すみませんっ、通してください！」


野次馬を掻き分け店の近くまで行くと、
店の斜向かいの飲食店が入っている雑居
ビルから立ちのぼる黒煙と、まるで生き
ているかのように、激しく燃え盛るオレ
ンジ色の炎が見えた。

ボンッという音とともに、窓ガラスが割
れ悲鳴が上がる。






「詩乃ママ！」

「あっ、玲ちゃん！」


店の近くで立ち尽くしている、詩乃ママ
と従業員やホステスの皆とばったり会っ
た。


「大丈夫ですか！？」

「私達は大丈夫よ。さっき爆発音が聞こ
えて、出てみたら大西さんのビルから炎
が見えたの！まだ中に人がいるみたいな
のよっ……どうしたら……」

「そんな……」



血の気が引いたママの肩を抱いて、私は
ビルを呆然と見上げた。



「まだ火事の原因が分かってませんので
ここから離れてください！危険ですから
近づかないでっ！」


消防士が拡声器で避難を促していた。









ボンッ！と、またガラス窓が割れる音が
したのと同時に――……






突然、周りから音が消えた。







あれは……？

目の前に見える紅蓮の炎。




私に差し出された小さい手。




心臓が早鐘を打ち出し、血液が逆流して
くるような感覚を覚えた。





次の瞬間、私は、月明かりに照らされた
室内にいた。






ここは――……？

目の前に、見覚えのある学習机と赤いラ
ンドセルが見えた。




フラッシュバック……




ドッ、ドッ、ドッと、心臓が痛いほど大
きく音を刻み、あらゆる毛穴から汗が吹
き出してくる。




耳鳴りがして、
思わず耳に手を当てた。







あの日――……

あの火事が起きた日……






ガタン！ガタッ！


リビングの方から聞こえてくる物音に、
私は目を覚ましたんだ……








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