検索窓
今日:23 hit、昨日:0 hit、合計:259,580 hit

大晦日 ki ページ8










表向きのバーである”ルキア”は毎年大
晦日も営業していた。

カウントダウンを友達と過ごす男性客や
一人で過ごす女性の常連客が、ふらっと
やってきたりする。




大晦日の今日も例年と同じく店は繁盛し
ていて、上機嫌な最後の客に「良いお年
を」と声をかけてドアの所で笑顔を作っ
た。







「ミツ、今年の正月は実家に帰るよ」


閉店後、店の片付けをしながら玉が話し
かけてきた。

玉の家も複雑で、ここ何年も帰っていな
いのは知っていた。どうしてそんな心境
になったのかわからないけれど、帰る家
があるのは良いことだと思う。



「そうなんだ、良かったな」

「うん、弟が大学に推薦決まってさ、今
年はみんなで正月過ごしたいらしい」

「帰ってこいって?」

「うん……母親がだけどね」

「お父さんもいるんだろ?」

「いるけど……もう大丈夫だよ。俺も強
くなったし」

「そうか」




そう言って笑う玉は、以前よりも自信に
満ちた表情をしていて、実家に帰る気に
なっただけでも強くなってきているんだ
ろう。

少しづつ、少しづつだけれど。




それでいいんだよ、玉。

俺みたいになるな……



家族と分かり合えないのは悲しいことだ
から。家族がいる玉が、良い方向に向か
ってくれることを祈ってるよ。







「今年もあっという間だったね」

「だな」


あっという間だったけれど、濃密な一年
だった。


「ミツは正月どうするの?」

「あー、俺はいつもと変わらないよ」

「玲さんと?」

「初詣に行こうとは話してるけど、特に
何も決めてないかな」

「そっか、なんかミツ変わったよね」


玉がふわりと笑う。


「そう?」

「うん、幸せオーラってやつですかね」


幸せオーラ?何だよそれって言い返した
ところで、店に降りてきた黒川さんに声
をかけられた。


「ミツ、ちょっといい?俺の部屋来て」

「あ、はい」





*





「先の話だけどね、ルキアの二号店出そ
うかと思ってるんだ」


黒川さんは煙草に火をつけ、フゥーと煙
を吐き出した。


「二号店……ですか?」

「場所は銀座」

「はい……」


今更、銀座――?



「店の準備ができたら、ミツに移っても
らいたいと思っているんだけどどう?」

「え?俺に?」



いきなりの話に驚く。



「何か問題?」

「いや……俺は……」

「居抜きで借りられる良い物件を紹介し
てくれるように頼んで、ちょくちょく見
に行っているんだよ。まだ探してる段階
だけどね」








戸惑い ki→←christmas Kiss ki



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (556 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1624人がお気に入り
設定タグ:北山宏光 , 玉森裕太 , Kis-My-Ft2   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

裕太 - このみこ (2021年2月25日 9時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、こんにちは。こんなダークな話まで読んでくださり嬉しすぎます。これからミツの過去も分かってきますので楽しんでいただけると幸いです! (2020年6月28日 11時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - こんばんは。こちらも読ませて頂いてます。別世界過ぎて主人公を自分に置き換えて読むのは難しいですが、玉ちゃんが好きだと思ってたので、黒川さんだとわかり、面白い展開にゾクゾクしてます。キスマイとか関係なく凄く楽しく小説を読ませてもらってます。 (2020年6月27日 22時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - ミーさん» ミーさぁん(o^-^)ほんと、悲しい展開で……(T‐T)分かります、そこ!嫌な予感しかなかったですよね、わーん!ごめんなさいっ!そして迷いながらも読み続けてくださり嬉しいです。早く沼から出られるように更新していきますので、お付き合い下さると嬉しいです!(>_<。) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - きたみなさん» きたみなさん、こんにちは(o^-^)このようなダークな話にも関わらず、そんな風に言ってくださってとても嬉しいです!これからも心情と情景の描写を丁寧に書いていきたいと思いますので、上手くはありませんが、楽しんで頂けるように頑張りますね!(´>///<`) (2019年2月24日 17時) (レス) id: 3e6044568e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:siori | 作成日時:2018年12月11日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。